映画『明日を綴る写真館』の完成披露舞台あいさつ

 俳優の平泉成が23日、都内で行われた映画『明日を綴る写真館』(6月7日公開)の完成披露舞台あいさつに、共演の佐野晶哉(Aぇ! group)、佐藤浩市、市毛良枝、メガホンをとった秋山純監督とともに登壇した。

 あるた梨沙原作の同名漫画の映画化した本作。さびれた写真館を営む無口なカメラマン・鮫島(平泉)の写真に心を奪われた気鋭カメラマン・太一(佐野)は、華々しいキャリアを捨て、弟子入りを志願する。家族とのコミュニケーションすら避けてきた太一は、訪れる客と丁寧に対話を重ね、カメラマンと被写体という関係を超えてまで深く関わる鮫島の姿に驚きを隠せない。人々の抱える悩みや問題のために必死に奔走する鮫島に振り回されながらも、自分に足りないものに気付き始める太一。同時に、鮫島とその家族にも目を背けてきた“想い残し”があることを知る。

 60年のキャリアを誇り、公開直前の6月2日に80歳を迎える平泉は、初主演を飾った本作がお披露目される心境を尋ねられると「感無量ですね。昔から“継続は力なり”と言いますけど、60年やって80歳で初めて主役をやらせていただきます。しかもこんなすてきな映画で今日は夢のようです」と目を輝かせ、秋山監督からオファーがあった際の思いについては「主役なので責任もありますし、本を読ませていただいて、自分ができる役かどうかを検討してからということで、読ませていただいたら温かいすてきな映画だったので、二つ返事でお受けさせていただきました」と笑顔で語った。

 そんな平泉に主演のオファーをした秋山監督は「僕がデビューした深夜ドラマのときからずっとお世話になっているんですけど、ポリシーとして主役はやらないという話を聞いたときに、絶対に自分がやりたいとずっと思っていました」と吐露し、約3年前にあるた氏の原作と出会ったそうで「その日から今日の日なんてミラクルでしかないですし、成さんに言ったら『お前が(監督を)やるならやるよ』って言ってくれたので、本当にうれしかったですね」と感慨深げに語った。

 また、日頃から平泉とメールのやり取りをし「勝手に孫だと思っている」「メル友です」という佐野は、平泉がクランクインした際に1時間ほど話をしたそうで「そのときに『60年間やっていたらいいことがあるんだな』とか『80歳にしてチャンスめぐってきたな』とか、『俳優ってどれだけやっても満足できないし正解が分からないけどそれが楽しい』とか、『佐野も80歳になっても芝居やっていてくれよ』って熱い言葉をいただけて、僕の中の人生観が変わるような(お言葉でした)」と振り返り、「成さんのその言葉だけでこの映画を見る価値は絶対にあります」とアピールした。ENCOUNT編集部