旧車を軸に自動車文化を満喫できるモーターショー、「オートモビル カウンシル2024」。その中でひと際大きな注目を集めたのが、緊急企画として行われた、イタリアの著名なカー・デザイナー、マルチェロ・ガンディーニ氏の追悼展だ。その特別な展示を3回にわたってお伝えする【前中後篇の前編】。

自動車文化を満喫できるオートモビル・カウンシル

去る4月12日〜14日までの日程で開催された自動車文化にまつわるさまざまな知見を深めることができるオートモビル カウンシル2024。9回目を迎えた今年のメインテーマは「クルマを超えて、クルマを愉しむ。CLASSIC MEETS MODERN AND FUTURE」で、過去最高となった3万9807人の来場者に、名車、アート、音楽、食の愉しみを提供した。

急遽、企画を変更

そんなオートモビル カウンシルの名物コンテンツのひとつが主催者テーマ展示で、数多くのクルマを魅了している。本年そのひとつとして行われたのが「In Memory of Marcello Gandini」、マルチェロ・ガンディーニ氏の追悼展だ。当初はイタリアのカロッツェリアであるピニンファリーナに焦点を当てた展示、「Designed by ピニンファリーナ」が予定されていたが、イタリアの伝説的カー・デザイナーであるガンディーニ氏が3月13日に永眠したことをうけ、急遽、企画が変更された。

1938年に生まれたマルチェロ・ガンディーニ(享年85歳)は、スーパーカー・ブームを経験した世代にはお馴染みのカー・デザイナーであるレオナルド・フィオラヴァンティ氏やジョルジェット・ジウジアーロ氏と共にカロッツェリア・ベルトーネの元チーフデザイナーだ。ガンディーニ氏が描いた作品は見る者を驚かせる先鋭的なスタイルが大きな特徴となっていた。

スポーツカーだけでなく実用車も多い

工業デザイナーとして活躍したこともあり、自動車だけでなくヘリコプターをはじめ、インテリアや建築、工業製品といった分野でも優れた作品を残している。自動車の代表作には高性能なスポーツカーが挙げられることが多いものの、フィアットX1/9やルノー・シュペールサンク、シトロエンBXといった身近なクルマのデザインでも傑作が多数見受けられる。

自動車史にその名を遺したマルチェロ・ガンディーニ氏の功績を讃える目的で実施された今回の追悼展では、スーパーカー・ブームを牽引した5台のスポーツカーが会場の入り口に展示され、オートモビル・カウンシル 2024に駆けつけた来場者をいきなり熱くさせた。

選りすぐりの5台を展示

その5台とは、1968年式ランボルギーニ・ミウラP400、1970年式ランボルギーニ・エスパーダ シリーズ2、1975年式ランボルギーニ・カウンタック LP400、1974年式ディーノ 308gt4、1975年式ランチア・ストラトスHF ストラダーレで、いずれも傑作といっていいモデルだ。

中篇では、ガンディーニ氏の名を世に知らしめるきっかけとなったランボルギーニの名車を紹介する。(極上のランボルギーニ・ミウラとエスパーダが登場 オートモビル・カウンシル2024のガンディーニ追悼展)に続く。

文=高桑秀典 写真=ENGINE編集部

(ENGINE WEBオリジナル)