新旧問わず世界中のアニメや映画が視聴できる「Amazonプライム」。3月の視聴ランキングトップ10には『薬屋のひとりごと』など3月に引き続き好調の作品をはじめ、『転生したらスライムだった件』など4月スタートの春アニメがランクインしています。

 今回は「Amazonプライム4月の視聴ランキング(日本)」の上位3作品のアニメを紹介します。何を見ようか迷った時の参考にしてみてください。

本記事は、Amazon.co.jpのプライムビデオ視聴ランキング(2024年4月1日16:00現在)に基づいてランキングを集計しています

●Amazonプライム4月の視聴ランキング:3位『マッシュル-MASHLE-』

 週刊少年ジャンプで連載された人気漫画のアニメ化作品『マッシュル-MASHLE-』。1月からスタートした新シリーズ”神覚者候補選抜試験編”が大きな話題を呼び、第2期の放送が終了した今もその人気は根強く、4月も引き続きランキング上位に食い込んでいます。

 舞台は誰もが魔法を当たり前のように使う”魔法界”。マッシュルームヘアーとシュークリーム好きが特徴の主人公”マッシュ・バーンデッド”は、じいちゃんと一緒に平和な毎日を過ごしていました。しかしマッシュの”魔法が使えない”という秘密がバレてしまい、じいちゃんと自分の命が狙われることに……。

 ひょんなことから、大事なじいちゃんの命を守るため、魔法界のトップ”神覚者”を目指して魔法学校へ入学することになるのですが、マッシュのとりえは鍛え抜かれた筋肉のみ。マッシュは無事神覚者になれるのか……筋肉×魔法で描かれるシュールギャグとたまに訪れる胸熱な展開の振れ幅が楽しい、アブノーマル魔法ファンタジーアニメです。

 本作の魅力は魔法の才能がない主人公が、魔法が絶対の世界で成り上がっていく異色のサクセスストーリーが展開される点。最初はマッシュを見下していた人々が、筋肉を使ったパワープレイを行うマッシュに面食らい、唖然とする姿は見どころの1つです。

 魔法界で権力を傘にどや顔しているキャラが、マッシュにグーパンされノックアウトされるシーンはスカッとすること間違いなし。絶対的な力を前にくじけそうな時、ぜひ見て欲しい1作です。

●Amazonプライム4月の視聴ランキング:2位『転生したらスライムだった件』

 ごく普通のサラリーマン・三上悟が異世界にスライムとして転生し活躍するアニメ『転生したらスライムだった件(通称、「転スラ」)』。「転スラ」は本編のみならず『転スラ日記』『転ちゅら』などスピンオフ作品も多数展開しており、シリーズ累計発行部数4000万部を超える大人気シリーズで、春アニメとしても1、2を争う注目作です。

 シーズン3となる今回は、本編放送前に第48.5話「閑話:ディアブロ日記」と題して、これまでの総集編が先行配信されています。第2期における魔王達の宴(ワルプルギス)での戦いを振り返る内容ですが、この先行配信と原作の圧倒的な人気がダブルでブーストをかけ、他の春アニメよりもひと足早く注目を集め2位にランクインしている模様です。

 本作は主人公が通り魔に襲われ転生したらスライムだったというところから始まる奇想天外な物語ですが、基本的には主人公(異世界では”リムル”)のチート系能力で、異世界を無双していく爽快感が味わえる作品となっています。

 リムルが最初に獲得した能力は、対象を取り込み栄養とする他、対象の解析・コピー・擬態・スキルの獲得・保管などができる「捕食者」と、主人公の脳内に語り掛ける形でガイドや解析を行う「大賢者」の2つ。「捕食者」であらゆるものを取り込んでスキルを獲得しつつ、高性能AIのようにさまざまな情報を教えてくれる「大賢者」のサポートを受け、リムルはとてつもないスピードで強くなっていきます。

 リムルがハイスピードで成長していく様子も面白いですが、その能力を人助けに使い、仲間を増やしていくところも魅力的なポイントです。リムルはドラゴンでもゴブリンでもドワーフでも関係なく、困っている対象を助けるために能力を使用します。

 途中いろいろなトラブルはありますが、最後にはリムルの活躍の結果みんなに「ありがとう」と言ってもらえるため、誰かの役に立つ喜びや人助けの貢献感が味わえるのが本作の特徴です。

 仲間からの感謝や信頼が集まり、リムルは圧倒的な人望を獲得していくので、貢献感に加えて多くの仲間から尊敬される気持ち良さも味わえます。その他にも事あるごとにお色気シーンがあるなど、多数の魅力を備えた作品です。

 第3期はリムルが「人魔共栄圏」を目指し、新たな理想を掲げて進んでいくことになるのですが……。敵味方関係なく仲間に取り込んでいくリムルの人望がどこまで通用するのか、第3期も目が離せません。

●Amazonプライム4月の視聴ランキング:1位『俺だけレベルアップな件』

 全世界累計142億Viewの爆発的ヒット作のアニメ版『俺だけレベルアップな件』。原作は縦読みカラー漫画”WEBTOON”の中で最も成功した作品と言ってもいい、韓国発のメガヒットコンテンツ。

 アニメ化にあたり東京、ソウル、パリ、ロンドン、ロサンゼルスなど全世界の主要都市でワールドプレミアが展開され、先日の第2期制作決定の情報解禁や世界3都市同時のビジョンジャックが行われるなど大規模な広告戦略が打たれたこともあり、第1期放送終了後も首位を獲得することに成功しています。

 物語の舞台は異次元と現実世界をつなぐ"ゲート"が出現した世界。ゲートから現れるモンスターたちに対抗する能力を獲得した”ハンター”として、主人公・水篠旬も覚醒を果たします。ダンジョン攻略によって一攫千金が狙えるハンターの仕事ですが、能力が高くなければ活躍できず得られる報酬も低くなってしまう……。

 S級からE級まで存在するハンターランクの内、水篠のランクは最も低いE級。その弱さから”人類最弱兵器”などとからかわれながらも、奇病にかかった母親の治療費や妹の学費をまかなうために、低ランクハンターとしてギリギリ踏ん張っていました。

 そんな中、ある時参加した低ランクダンジョンにて、その奥に別のダンジョンが存在することを発見し、一行は高ランクの二重ダンジョンへ挑むことに。S級クラスのとてつもないダンジョンに迷い込んだパーティーのメンバーは次々と命を落とし、水篠も瀕死の状態に追い込まれます。

 その瞬間、目の前に謎のゲームウィンドウのようなものが見え、"Yes"を選択した水篠。目を覚ますと、一生ランクが変わることはないとされていたハンターの世界で、自分だけがレベルアップできることに気づき、水篠は強くなるために新たな戦いを始めます。

 原作とは違うアニメならではの構成なので、初見の人はもちろん原作ファンでも新たな気持ちで楽しめるのが特徴の1つ。また本作では『進撃の巨人』や『Re:CREATORS』『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』など数々のヒット作に携わってきた澤野弘之氏が音楽を担当しています。ハリウッド大作感のある迫力たっぷりのサウンドと、KPOP風のリズミカルなサウンドを掛け合わせた心震える音楽が使われており、躍動感のある作画との相乗効果で物語への没入感を高めています。

 さらに澤野弘之氏と韓国の5人組男性アイドルグループ” TOMORROW X TOGETHER”がタッグを組んで制作されたオープニングテーマ「LEveL」も、リズム感と疾走感あふれる魅力的なナンバーとなっており、一度聴いたら病みつきになること間違いなし。先が読めない展開をはじめ上質な作画と音楽で紡がれる、ドエンタメ作品となっています。

●Amazonプライム4月の視聴ランキング:トップ10

10位:『ダンジョン飯』

9位:『外科医エリーゼ』

8位:『悪役令嬢レベル99〜私は裏ボスですが魔王ではありません〜』

7位:『シャングリラ・フロンティア』

6位:『僕の心のヤバイやつ』

5位:『葬送のフリーレン』

4位:『薬屋のひとりごと』

3位:『マッシュル-MASHLE-』

2位:『転生したらスライムだった件』

1位:『俺だけレベルアップな件』

●Amazonプライム4月の視聴ランキング:”異世界転生もの”が上位を席巻。放送が終わった『葬送のフリーレン』と『薬屋のひとりごと』もまだまだ好調

 4月の視聴ランキングは”異世界転生もの”あるいは“ファンタジー作品”が独占する結果となりました。『薬屋のひとりごと』を中華風ファンタジーと考えれば、10作品中9作品が異世界転生及びファンタジー作品ということになります。中でも『葬送のフリーレン』や『薬屋のひとりごと』は冬アニメ放送当初から高い人気が続いており、2月に引き続きトップ5をキープ。他作品とは一線を画す長期的な人気を得ていると言えるでしょう。

 同じファンタジー系でも、『葬送のフリーレン』や『薬屋のひとりごと』、『悪役令嬢レベル99〜私は裏ボスですが魔王ではありません〜』『外科医エリーゼ』に見られるように、”女性を主人公とする作品”がやや多くなっている点は今月の特徴の1つです。

 『俺だけレベルアップな件』や『転生したらスライムだった件』、『マッシュル-MASHLE-』、『シャングリラ・フロンティア』など”俺TUEEE”系作品の勢いも強く、トップ3を独占する状態となっています。

 いずれも最初は低ランクハンターだったり、スライムだったり、魔法が使えなかったりと劣等生スタートな点で共通しているのは面白いポイントです。劣等生から実力者へ周りの見る目が変化し、周囲をぎゃふんと言わせるスカッと系(あるいは下剋上系)の構造を持っている作品群と言えます。

 また『マッシュル-MASHLE-』を除き、上位にランクインしている作品のいずれも主人公のIQが高めという点も興味深いポイントです。『俺だけレベルアップな件』の水篠旬、『転生したらスライムだった件』のリムル、『薬屋のひとりごと』の猫猫、『葬送のフリーレン』のフリーレン、『外科医エリーゼ』のエリーゼなど、いずれも知的で状況の分析能力に長けています。知性のあるキャラが支持されやすいという傾向が読み取れるでしょう。

 異世界転生ものが好調の中、唯一のラブコメ作品としてランクインしている『僕の心のヤバイやつ』の存在も印象的です。Amazonプライムの評価を見ても平均星4.9という超が付くほどの高評価を獲得しており、星5の評価は全体の約93%にも及びます。原作の人気が高かったこともありますが、第2期は物語の進展が著しい他、エモい情景を質の高いアニメーションで表現しているなど原作ファンを含め幅広い層から支持を集めており、数あるラブコメ作品の中でも群を抜いて高い評価を獲得しているようです。