◆万が一山で一夜を過ごすなら…

5月1日に、福島県檜枝岐村にある尾瀬の燧ヶ岳に登った男性(70代)と連絡が取れなくなる事案がありました。その後、男性は自力で下山し無事が確認されました。一般的な山岳遭難の対策として、入山者カードを提出したり、天気や事前の情報を収集したりすること、単独で入山しないといったことは呼びかけられていますが、それでも事故は起きてしまうもの。万が一、山で一夜を過ごすことになってしまった場合の対応を皆さんはご存じでしょうか。

福島県がウェブサイトで公開している「山岳事故防止啓発チラシ」では『日没前に、体力のあるうちに不時野営の準備をし、風当たりの強い場所を避けて救助を待つ』とされています。可能ならば『濡れた服は着替え、カロリーの高いものを食べて、睡眠をとるなどして体力を温存』するよう呼びかけています。

◆むやみに動き回らないで

福島県警も山岳事故についての対応をウェブサイトで公開しています。山で道に迷ったときは「やみくもに動き回らないで」と呼びかけています。捜索範囲が広がるだけでなく、崖や滝に行き当たり、降りることや戻ることができなくなる恐れがあるためだそうです。

天候などにより必ずしも救助ヘリが出動できるとは限りませんが、救助を通報したら、上空を広く見渡せる場所に移動してほしいとしています。ヘリコプターの音が聞こえたら、合図を送ることで発見がしやすくなります。例えば、目立つ色の服を着たり、カメラのフラッシュをたいたり、鏡で日光を反射させるのも手です。

◆遭難信号の出し方を知ってますか?

多くの人が携帯電話を保有しているとはいえ、山の中などでは電波が通じないことも考えられます。いざという時に備え「遭難信号」を覚えておくのがよさそうです。昼間であれば笛や物をたたくなどして音を出し、夜間であれば光で信号を送るというものです。「10秒間隔で音や光を出し、それを6回連続でしたあとに、1分間休む」これを繰り返すものです。

※ピー(10秒間)ピー(10秒間)ピー(10秒間)ピー(10秒間)ピー(10秒間)ピー(1分間あける)

誰かがこれを受信できれば、発見される可能性が高まりますので、覚えておくのがよさそうです。

機材や所持品を充実させるだけではなく、豊富な知識が悲惨な山岳事故を減らす対策となりそうです。