家族を持ち会社に勤める男性にとって、仕事と家庭生活の調和は切り離せない問題です。家族行事と業務のスケジュールが衝突する状況では、どちらを選択すべきか悩ましいところでしょう。   配偶者の出産に休暇を取得し、その日に設定されていた重要なミーティングを欠席した結果、減給になった場合は、どう理解すればよいのでしょうか。この記事では、会社員の育児関連休暇について考えます。

次世代育成支援推進法について

育児への父親の参加を奨励する企業が増加し、国としても政策的なバックアップを行っています。平成17年に施行された「次世代育成支援対策推進法」では、子育て支援の枠組みの中で、父親が育児に積極的に関わることを促進するための措置が講じられているのです。
 
この政策は、家庭内の責任分担の促進などを目的としています。父親が育児休暇を取得することが推奨され、出産前後の重要な時期において家族と過ごす時間を確保し、家庭内でのサポートを強化できるような方針を示しているのです。
 
このような政策の推進により、育児休暇を取得する父親の割合は年々増加傾向にあります。この傾向は、社会全体で育児への父親の関与を正常化する文化の変化を反映しています。
 
この政策のもう一つの重要な側面は、育児休暇だけでなく、必要に応じて取得できる短期の休暇も含まれていることです。これにより、父親は子どもの予防接種や健康診断など、日常的な育児に関わる機会が増え、子どもの成長過程において重要な役割を果たせます。
 
この政策の実施により、父親が家庭内でよりアクティブな役割を果たすことが奨励され、それによって家庭の幸福感が高まると同時に、職場と家庭生活のバランスを取ることが容易になると期待されています。このような変化は、個々の家庭だけでなく、社会全体にとっても有益な影響をもたらすことでしょう。
 

配偶者出産休暇とは?

妻の出産日に取得する休暇は「配偶者出産休暇」とも呼ばれ、特別休暇扱いとなるのが一般的です。特別休暇の位置付けは、年次有給休暇とは異なります。
 
これは、法律によって保証されている休暇ではなく、企業が労働者の福祉向上のため、または特定の事情に応じて設けるものです。多様な形態が存在し、その中には家族行事のための休暇、病気や治療のための休暇、さらには労働者の心身のリフレッシュを目的とした休暇などが含まれます。
 
特別休暇の取り扱いに関しては、企業ごとに大きな違いが見られます。例えば、ある会社で従業員の家族が重病である場合に最大5日間の有給休暇を認めていても、別の会社では同様の状況下でも休暇を無給としているところがあるのです。
 
このように、特別休暇の有給・無給の取り扱いは、企業の方針や業界の慣習、さらには社内規定によって大きく異なります。したがって、特別な家庭の事情で休暇を取得した際に給与が減額されるかどうかは、その労働者が所属企業の特別休暇に関する規定によって左右されることになるのです。
 
このため、特別休暇を利用する際には、事前に企業の規定を確認し、必要であれば人事部門や上司と事前に相談して、有給かどうか明確にしておいたほうがよいでしょう。
 

配偶者出産休暇は企業しだい

家族を優先し、特に生命の誕生という重要な瞬間を共有することは、計り知れない価値があります。しかし、その際に取得する配偶者出産休暇の扱いは、企業の方針や制度に大きく左右されるのが現状です。
 
自らの価値観と職場の方針との間でのバランスを見つけることが求められます。また、正当に休暇の申請を出していた場合は、減給は不当な評価といえるでしょう。
 

出典

厚生労働省 次世代育成支援対策推進法(次世代法)について
厚生労働省 男性の育児のための休暇取得の在り方
こども家庭庁 次世代育成支援対策
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー