夫婦共働きの世帯が増えた現在、子どもを夫婦どちらの扶養に入れるか迷う家庭もあるでしょう。扶養には、「社会保険上の扶養」と「税制上の扶養」の2つがあり、それぞれ被保険者になれる条件や扶養に入れるメリットなどが異なります。   本記事では、夫婦共働きの場合に子どもは夫婦どちらの扶養に入れられるのか、扶養の種類や被扶養者になれる条件、子どもを扶養に入れることで得られる優遇措置などを紹介します。

扶養には種類がある

扶養とは、収入が十分にない親や子ども兄弟などに経済的な支援をすることです。かつては、男性が働いて女性が家を守る家族の形が一般的で、夫の扶養に妻と子どもが入るケースが大半でした。
 
しかし、夫婦共働きが多くなった現在は、子どもをどちらの扶養に入れるか選ぶこともできます。そのためには、まず扶養の種類について知っておくことが大切です。
 

社会保険上の扶養

社会保険上の扶養とは、扶養者の社会保険に加入することを指します。社会保険上の被扶養者になれば社会保険や年金の支払いは不要となり、国民年金を受け取る権利が生まれます。
 
社会保険上の扶養は、原則として収入の多いほうが行わなければなりません。夫婦どちらかが国民健康保険、もう一人が社会保険であっても同様です。ただし、収入差が1割以内ならば選択ができます。夫婦の収入差が開いた場合は、子どもが収入の多いほうの扶養に改めて入り直す場合もあります。
 

所得税・住民税上の扶養

被扶養者がいる場合、扶養者は所得税と住民税の控除を受けられます。夫婦共働きの場合、所得税や住民税はどちらの扶養になるかを被扶養者が選択できます。収入が低いほうの扶養に入ってもかまいません。
 
16歳未満の子どもがいる場合、収入が低いほうの扶養に入ると住民税が非課税になるケースもあり、節税になります。また、社会保険上の扶養を父親、所得税・住民税上の扶養は母親といったように分けることも可能です。
 

子どもが複数いる場合は別々に扶養に入れることも可能

子どもが複数いて夫婦の収入の差が1割以下の場合は、第一子が夫、第二子が妻のように被扶養者を分けることもできます。子どもを所得税や住民税上の扶養に入れられれば、所得税や住民税の控除も受けられるので、手取りも増やせます。
 
ただし、どちらかの会社に家族手当など会社独自の福利厚生がある場合、夫婦どちらかの扶養に統一すると手取りが増える可能性もあります。家族に対する福利厚生が充実している会社に勤めている場合は、会社の福利厚生の内容や利用できる条件を確認したうえで、選択してください。
 

会社の福利厚生も確認のうえ夫婦どちらの扶養に入れるか決めよう

夫婦共働きで収入が同じくらいの場合、子どもの扶養に関する選択肢も複数あります。特に所得税や住民税上の扶養の場合は、扶養に入れる人の年齢や扶養者と被扶養者の関係によって控除される金額も異なります。
 
年収だけでなく、扶養に入れたらどのくらい控除を受けられるか、どちらの会社の福利厚生がよいかなども確認したうえで、どちらが扶養に入れるか決めるとよいでしょう。
 

出典

国税庁 家族と税
国税庁 No.1180 扶養控除
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー