自宅から会社に向かう際、電車やバスを利用する場合には交通費が発生します。   交通費は負担した分を支給されるため最終的には精算されますが、中には「6ヶ月分の定期券を購入するように」と会社から指示を受け、一時的に自己負担額が大きくなってしまうこともあるでしょう。   1ヶ月分と6ヶ月分とでは一時的とはいえ自己負担額が大きく異なるため「立て替えるのはキツいなぁ……」と感じる方もいるはずです。   そこでこの記事では、6ヶ月分の定期券購入を指示された場合は受け入れなければならないのかについて解説します。

定期券代の基本的な取り扱い

定期券代は、会社では「賃金」として取り扱われます。賃金の定義は労働基準法第11条で以下のように定められています。
 
「この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。」
 
出典: e−Govポータル 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)
 
賃金は毎月1回以上、期日を一定に定めて支払わなければならないとされていますが、賞与や臨時に支払われる賃金については例外として取り扱ってよいと定められています。
 
(労働基準法第24条)
 
ただし、定期券代は賞与などとは異なり、臨時に支払われる賃金ではないため、例外的な取り扱いは認められていないと考えられています。
 
つまり、基本的に定期券代は通常の賃金として取り扱われ、毎月1回以上、期日を一定に定めて支払われるべきものとする考え方が一般的です。
 

6ヶ月分の定期券購入を指示された場合は受け入れなければならない?

定期券代の支給方法は賃金の原則に沿っていれば、支給方法については特にどのような形でも問題ないと考えられています。
 
例えば、4月〜9月の半年分の定期券代を4月にまとめて賃金として前払いする支給方法であれば、毎月の交通費が確実に支払われる形となるため、特に問題ないとされています。
 
この場合、定期を購入してから4月分の給与が振り込まれるまでの間は、手元のお金がマイナスの状態になるため、負担が「キツい」と感じるかもしれません。
 
ただし、4月〜9月の定期券代を9月に支払う「後払い」にすることは、本来4月や5月に支給されるはずの賃金が支給されない形となるため、認められないのが一般的です。
 
つまり、交通費として先払いされる規定になっているのであれば、6ヶ月分の定期券を購入するのはやむを得ないと考えられます。どうしても支払いが厳しい場合は、会社と相談してどのような形にするかを決めるのが無難でしょう。
 

交通費が先払いされるのであれば指示通り購入しましょう

定期券代などの交通費は、賃金の原則に沿っていれば支給方法に特に規定はありません。そのため、一時的な自己負担が「キツい」と感じるかもしれませんが、6ヶ月分の交通費が先払いされる規定になっているのであれば指示通り購入するのが無難でしょう。
 
ただ、来月の生活費がどうしても足りないなどの支払えない理由があるのであれば、会社と相談してみるのもよいかもしれません。
 

出典

e−Govポータル 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号) 第一章 総則 第十一条、第三章 賃金 第二十四条(賃金の支払)
e−Govポータル 労働基準法施行規則(昭和二十二年厚生省令第二十三号) 第八条
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー