75歳になった全ての人が、それまで加入していた健康保険などから外れて個人単位で加入する公的な医療保険が「後期高齢者医療制度」です。この保険料の、2024年度と2025年度の保険料率などが厚生労働省から発表されました。   本記事では、「変更された保険料と、値上げ対象になる人はどんな条件にあてはまるのか」等について説明します。ぜひ参考にしてみてください。

後期高齢者医療制度保険料はどのように決められる?

後期高齢者医療制度の保険料は都道府県ごとに異なり、原則として年金から所得税などと合わせて天引きされています。この保険料は一人ひとりが納める規定なので、これまで健康保険料を納めていなかった扶養家族も扶養から外れて保険料を負担することになります。
 
国民健康保険料は、均等割・平等割・所得割・資産割から自治体それぞれの規定によって決められていますが、後期高齢者医療制度保険料は、「均等割(均等に負担する金額)」と「所得割(前年の所得に応じて負担する金額)」の2つの合計で決められており、毎年8月ごろまでに1年間の保険料通知と保険証が届きます。
 

24年度と25年度の保険料はどのくらい値上がりする?

保険料は2年に1度改定され、24年4月に厚生労働省が発表した「後期高齢者医療制度の保険料率について」によると、改定された保険料額などは次のとおりです。

<24年度>

全国平均保険料年額:8万4988円(22・23年度:7万8902円)
 
平均保険料額月額:7082円(22・23年度:6575円)
 
平均所得割率:10.21%(22・23年度:9.34%)

年間で約6086円の増加です。

<25年度>

全国平均保険料年額:8万6036円
 
平均保険料額月額:7192円
 
平均所得割率:10.21%

24年度と比較すると年間で約1048円の増加です。
 
なお、これは全国平均の金額で、住んでいる所や所得によって変動します。
 

年金300万円の場合、保険料はいくら?

それでは、単身者で年金を年間300万円(月25万円)もらっている人の場合、保険料はいくらになるのでしょうか。例として、東京都での保険料の計算方法と保険料をシミュレーションします。
 

<東京都での保険料計算式>

均等割額4万7300円+所得割額(所得金額×保険料率)=保険料額(100円未満切捨て)
 
(保険料率は所得金額が58万円以下は8.78%、58万円超は9.67%)

24年度の保険料額

均等割額4万7300円+所得割額(所得額147万円×保険料率9.67%)=約18万9400円

23年度の保険料額が約18万5900円なので、24年度は3500円値上がりする見込みになりました。
 

年金収入が少ない場合には、後期高齢者保険料は軽くなる?

年金収入や給与所得などを合計した総所得金額が一定金額よりも少ない世帯では、保険料が2割から7割軽減されます。東京都では、基準が図表1のように定められています。
 
図表1

総所得金額等の合計が下記に該当する世帯 軽減割合
43万円+(年金または給与所得者の合計数−1)×10万円 以下 7割
43万円+(年金または給与所得者の合計数−1)×10万円+29万5000円×(被保険者の数) 以下 5割
43万円+(年金または給与所得者の合計数−1)×10万円+54万5000円×(被保険者の数) 以下 2割

東京都後期高齢者医療広域連合 均等割額軽減基準表を基に作成
 
例えば、年金収入79万円だと均等割4万7300円が70%軽減されて1万4190円、所得割が0円で保険料は1万4190円です。
 

まとめ

後期高齢者医療制度の保険料は都道府県ごとに異なり、毎年8月ごろまでに1年間の保険料通知と保険証が届きます。保険料の全国平均金額は24年度と25年度ともに上昇しているので、自分が住んでいる地域の保険料を確認しましょう。
 

出典

厚生労働省 国民健康保険の保険料・保険税について
厚生労働省 後期高齢者医療制度の令和6・7年度の保険料率について
東京都後期高齢者医療広域連合 保険料の決め方・賦課
東京都後期高齢者医療広域連合 後期高齢者医療制度 保険料計算例(令和6年度)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー