「幸せな人生とは」と題するアラフォー男性からの投稿が、掲示板サイト「発言小町」に寄せられました。婚活で出会った女性と36歳の時に結婚し、39歳で離婚した経験があるというトピ主さん。現在は地方在住で完全在宅勤務。友人から誘われる合コン以外にほぼ女性との出会いはなく、社内で「すてきだな」と思う女性はほぼ既婚者で、2度目の婚活を頑張ってみましたが、良い出会いはなかったそうです。会社員として充実した日々を送れているものの、パートナーがいないことが悩みで、むなしさや寂しさを感じる瞬間があると心境をつづっています。

トピ主さんの投稿からは、「今の人生に、あとはパートナーさえいれば自分は幸せになれるのではないか」といった思いが伝わってきました。

今回はまず「〇〇さえ手にすれば、自分は幸せになれるのに」という前提を疑ってみることから始めてみると良いように思います。恋人や結婚相手がいれば、ということのほかにも、世の中にはさまざまな「たられば」があります。たとえば、「美貌があったら」「身長があれば」「お金があったら」「良い仕事があれば」「若さがあれば」といったことです。

しかし残念ながら、“自分に足りないもの”に目を向けて追い求めている限り、人は決して幸福感に満たされることはありません。実際、お金や美貌や名声があって、はたからどんなに恵まれているように見えても、幸福だと感じられずに悩んでいる人はいますよね。中には「世間一般と比べたらマシかな?」「周りにいる人たちよりは恵まれているはず!」などと周囲と比較することで、幸せを実感しようとする人もいます。

一方、今の自分や自分にあるものを肯定的に受け入れている人は、何かを持っていてもいなくても、今この瞬間から「自分は幸せだな」と感じることができます。

幸せとは、個人の心のうちに生じる実感でしかなく、幸福の定義にも確固たるものはありません。幸福感を味わうためには、自分にあるものや日々の小さな瞬間に価値を見いだし、感謝を持って受け止め、どんな自分でも、どんな現実でも、まずは「私はこれでいいんだ」と心の底から許容してみる。これができるかどうかで、人生の感じ方は大きく変わってくるように思います。

トピ主さんは今、仕事は充実しているし、国家資格の取得を目指して日々勉強も頑張っており、自分も両親も健康とのこと。とりあえず「今の自分は幸せだ」と自分を肯定してみることは難しいですか? もしかしたら、「向上心がなくなるような気がする」あるいは「今の自分が幸せだと認めてしまうと、一人の生活が完成してしまい、他人が入ってくる余地がなくなってしまうのでは」なんて不安があるのかもしれません。

しかし、いったん今の自分を受け入れてみると、意外な変化を感じられると思います。それは、楽しみや好奇心を動機にフットワーク軽く動けるようになっていく、という変化です。今あるものに満足していると、世の中の大抵のものは“あってもなくてもいいもの”になるので、人や物に対する執着心や渇望感がなくなり、「ちょっと〇〇してみたいな」といった軽い気持ちで行動できるようになっていくのですね。

適当に行動していた結果、興味を持てる人に出会い、理解し合える関係に発展し、人生のパートナーになっていた……なんてことにつながっていくことも。トピ主さんの例で言えば、「今日はオンライン会議もなかったし、人と話し足りないな。よし、ちょっと近所のお店に行ってみよう!」などと、特に何の期待もなく飄々と行動していたら、気の合う仲間と出会って毎日が楽しくなった、なんてことだってあるかもしれません。

ただし、これはあくまで結果論で、最初から期待感を持って行動してしまうと、執着が生まれ、本末転倒になってしまいます。気負いなく行動できる量を増やすためにも、まずは「今の自分に満足し、今の人生にある幸せを感じ取ってみること」を試してみてほしいなと思いました。

今ある幸せに気づくためには、ポジティブな言い換えを習慣にしてみるのはおすすめです。ふと「寂しいな」と思ったときに、「でも一人だから、存分に勉強に集中できるのかも」などと言い換えてみる。そして、「こんな自由な時間があるのは今だけかもしれないから、有効活用しよう!」などと肯定的に解釈し直してみるのです。

自分の人生を肯定的に受け止めていると、満ち足りた前向きなオーラが出てきて、周囲の人や新しく知り合う人たちとの関係性が変わっていくことが少なくありません。日本は謙虚を美徳とする国ですが、他者をおとしめない限り、自分で自分を褒めたり、認めたりしてもバチは当たらないと思います。

投稿には、「仮にパートナーに出会えてもいつか必ず別れがくる。それならもう一人で生きていこうと決めてしまったほうが楽になるでしょうか」といった問いかけも見られますが、そのように将来のことを決め込む必要はないと思います。少し肩の力を抜いて、「新しいパートナーができると楽しそうだな〜。まあ、今のままでも幸せだけど!」くらいの気楽さで人生に向き合ってみるのがベストかもしれませんね。

10代の頃は勉強やスポーツを頑張り、20代の頃には小さな会社を経営して、ほとんど仕事しかしていなかった、というトピ主さん。30代になって結婚生活や会社員生活を経験し、今が人生で一番、何でも自由にできる状況になっているのでは、とも想像します。今ある暮らしを楽しみつつ、「いつかやってみたい」と思っていたことに取り掛かってみたり、パートナーが見つかったときに一緒に楽しみたい趣味や興味対象を探してみたりすることも、人生をより良い方向に動かしていってくれるのではと思いました。応援しています。(フリーライター 外山ゆひら)