40代後半のAさんは、行きつけのカフェで1杯400円ほどのコーヒーを飲むのが朝の日課です。   そのカフェで、自分よりも若い20〜30代の人が毎日のようにコーヒーを買うのを見て、若者世代の給料が上がっているのか疑問に思ったとのこと。本記事で、20〜30代の平均給与がいくらなのか見てみましょう。

20〜30代の給料は上がっている

人手不足が問題視されるなか、今年の新入社員の初任給が大幅にアップされたことがニュースになったのは春先の出来事です。ニュースで取り上げられたのは顕著な企業だとしても、最近の新人の給料はいくらぐらいなのか、気になるところでしょう。
 
厚生労働省の「令和5年 賃金構造基本統計調査」によると、学歴や性別による格差があることはさておき、すべてのカテゴリーで初任給が増加していることが分かります。
 
(図表1)


 
次はAさんが気になる、20〜30代と40代である自分の給料についてです。同統計調査によると、図表2になります。これは分かりやすくするために学歴を大学卒業者に絞って比較したものですので、全体表は厚生労働省のサイトの第3表をご参照ください。
 
(図表2)

 
前年増減比を見ると、20代・60代での増加率が大きいことが一目瞭然です。若い働き手は売り手市場です。条件が合わなければ簡単に転職もいとわない環境下で「労働に見合う賃金」の要求が、この数字に表れていると考えられます。
 
一方Aさんの属する中間層は、すでに賃金水準が高くなっていることから、現段階では変動の少ない結果となっています。今後の賃上げに期待したいところです。
 

カフェを楽しむひと工夫

Aさんは20〜30代のお給料が気になったようですが、別の目線で見てみると個人的に気になる点が2つあります。
 
1つ目は20〜30代の若者によるお金の使い方です。一般的に彼らは、コスパとともにタイパを重視しているとされています。コストパフォーマンス的にはカフェのコーヒーは少しぜいたくで、もしかしたらAさんは「僕らの時代は缶コーヒーだったのに」と感じたかもしれません。
 
ですがWi-Fiなどが完備されたカフェでタブレットやスマホを見ながらのコーヒータイムは、データ容量を気にする必要もありませんし、タイムパフォーマンス的にも満足度が高いのかもしれません。「やはり若者にとってネット環境は重要事項なのか」と再認識しました。
 
2つ目はAさんの朝の日課となっているコーヒー代です。これは節約の世界では「ラテマネー」と名称までついています。ラテはカフェラテのことです。これはアメリカのアドバイザーが定義した言葉で、1回の支出は少なくても積み重なると大金になることを表しています。
 
1回当たりは少額なので、使ったことすら忘れているかもしれません。“「これを買った!」という満足感はないのに、いつの間にかお金がスルスルとなくなっている”という経験はありませんか?
 
1回400円のコーヒー代も30日間で1万2000円。日本では“塵も積もれば山となる”です。1日のスタートに「これから仕事!」と気合を入れる儀式に水を差すのも申し訳ないですが、ラテマネーという言葉を頭の片隅に置いてほしいです。
 
カフェによっては、環境への配慮からマイボトル持参で割引のある場合や、回数券でお得に購入できる制度を購入していることもあります。これならば、お気に入りの味はそのままで、少し節約できるのではないでしょうか。こうした工夫が逆の“塵も積もれば山となる”効果を生むと考えてみませんか。
 

出典

厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況
 
執筆者:宮﨑真紀子
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士