福島県福島市平石にある西久保遺跡で、2点目となる木簡が出土した。地元の首長が国司ら有力者をもてなす場に参加できない旨を伝える内容とみられ、市は奈良時代から平安時代にかけての物と推定している。「鎮兵」との文字が完全な形で確認できる全国初の木簡が昨年見つかった場所の近くで出土したが、関連性は不明。木幡浩市長が18日の定例記者会見で発表した。

 木簡は長さ13センチ、幅2・7センチ、厚さ0・3センチ。赤外線画像で「郡司□□状□」の6文字(□は判読不能)が判明した。古字の崩し字に関する辞典で確認し、「郡司」の下の木簡が欠けている部分に書かれている文字を判断した。

 木簡を鑑定した宮城県多賀城跡調査研究所の吉野武所長によると、国司ら有力者が郡境を出入りする際には地元の郡がもてなしをするケースがあった。「この遺跡でも同様のことをしていたとすれば、信夫郡の郡司(首長)がもてなしの場に来られないと伝えるための木簡と考えられる」とコメントした。

 福島西道路改築事業に伴う発掘調査で、鎮兵の木簡があった場所の約10メートル以内の範囲から出土したが、年代の前後関係なども分かっていない。