福島県は5日の「こどもの日」に合わせ、県内の4月1日現在の子ども(14歳以下)の数を発表した。18万6508人で前年より6114人減り、記録の残る1950(昭和25)年以降で過去最少を更新した。減少率は3・2%(前年比0・2ポイント上昇)で少子化は加速している。ゼロ歳児は8840人(同504人減)で初めて9千人を割り込んだ。県や市町村は子育て環境の充実に向けさまざまな対策を講じているが、成果が十分に出ていない。専門家は市町村単独では効果が限定的とし広域連携の必要性を指摘している。

 近年の子どもの数の推移は【グラフ①】の通り。18万6508人の内訳は男子9万5305人、女子9万1203人。近年は1年間の減少幅が4〜5千人台で推移していたが、今年は6千人台となった。県こども・青少年政策課の担当者は「少子化に歯止めがかかっていない。気を引き締めて対応する」としている。

 県内のゼロ歳児の推移は【グラフ②】の通り。10町村で1桁となり、川内村と三島町は県内最少の2人だった。川内村は村内に高校がないため、村外の高校に通う村民に月3万円を給付しているが少子化は進行している。担当者は「(少子化を打開するために必要な要素を)全て満たすのは正直、難しい」とこぼし、「何とか若い世代の定住を実現させたい」と語る。

 西郷村のゼロ歳児は県内町村で最多の152人となった。村によると出生数や移住者の増加が背景にある。村は2021(令和3)年度に子育て応援サイト「すくすく にしごう」を開設し、子どもの成長過程に応じた支援内容を紹介するなどしてきた。

 県や市町村は少子化への危機感を強め、子育てにかかる費用負担の軽減に向けた支援をはじめ、若者の出会いの場づくりなどに取り組んでいる。ただ、県内では放課後児童クラブに子どもを預けにくく、安心して子育てできないとの声が上がっている。

 子育て支援が専門の長谷川美香桜の聖母短大准教授は「県や市町村は県民と危機感を共有し、近隣自治体と合同研修会を開くなどして広域連携を模索すべきだ」としている。

 ■県、出会いの機会支援 遠方出産に独自補助も

 県は今年度、地元企業や団体による若者の出会いの機会づくりを支援する。婚活イベントの他、スポーツや文化活動などの交流会の開催費を20万円を上限に補助する。「婚活イベントを一から企画するのは難しい」との声を受け、県が委託したイベント会社などが企業の行事をお膳立てする取り組みにも乗り出す。

 この他、過疎地に住む妊婦が遠方の産婦人科で出産する際の交通・宿泊費の補助事業で、妊婦に連れ添う同行者の宿泊費を独自に補助する。県こども・青少年政策課は「事業を組み合わせて相乗効果を狙いたい」としている。