JR福島駅東口の再開発事業を巡り、福島市と福島駅東口地区市街地再開発組合は、当初計画で民間エリアに入る予定だったホテルの誘致を断念した。資材高騰や新型コロナウイルス禍に伴う経済状況の悪化により、事業者との交渉で条件面の折り合いがつかなかったことが要因。民間エリアではアパレルなどほかのテナント誘致も難航しており、事業規模の縮小が懸念される。
 木幡浩市長が1日の市議会全員協議会で明らかにした。市と組合によると、ホテル誘致を巡っては2021年に事業者と条件面でおおむね合意し、事業成立のめどが立っていたが、物価高騰などその後の情勢変化を受けて交渉が難航。事業者側から「価格転嫁が難しい」と最終回答があり、ホテル誘致を断念した。交渉に当たった組合の加藤真司理事長は全員協議会で「1年以上にわたり交渉を重ねてきたが、賃料などの面で折り合わず、ホテル誘致が困難と判断した」と説明した。交渉過程で賃料の高い複合ビルに設置するよりも「ホテル単体での誘致なら」という意見もあったことから、木幡市長は街なかの集客力強化を図った上で、単体でのホテル誘致を目指す方針を示した。
 木幡市長は「大規模な民間投資を呼び込む力が福島駅前には乏しくなっていると痛感している」とした上で「危機的な状況だからこそ、再開発の早期実現によって人流回復を図っていきたい」と述べた。
 民間エリア「10階程度」に
 民間エリアに建設するビルは当初計画の地上12階建てから「10階程度」に変更する見通し。ホテルが入る予定だった上層階には、シェアオフィスやインキュベーション施設などのオフィス機能を充実させる。低層階には「横丁型」のフードホールやカフェ、物産展などを設ける方針で、木幡市長は飲食店が中心となる見通しを示している。
 再開発事業では公共エリアと民間エリアの2棟を建設する計画で、公共エリアはコンベンションホールを新設する案を軸に協議が進んでいる。市は公共エリアと民間エリアに関する市の方針を今月中に取りまとめる。