南相馬市原町区の西護さん(90)は、今年の相双地方の伝統行事「相馬野馬追」で最高齢出場を果たした。西さんは「みんなに助けられ、無事に凱旋(がいせん)できた」と笑顔で語り、来年の出場にも意欲を見せた。
 西さんは高齢を理由に2年前から出場を見送ってきたが、5月開催に移行したこともあり家族の後押しを受け、出陣を決めた。今年は90歳の節目に加え、通算出場70回目の記念の年となった。長男勝正さん(63)、孫駿斗さん(25)との親子3世代の出場も果たした。
 5月25日開幕の本番では堂々とした進軍を見せた西さん。「最高齢と紹介され、みんなから拍手をもらい、手も振ってもらえた」とうれしそうに話す。疲労も感じなかったといい「観客が多く、人馬も涼しくて、日程変更は成功だったかもしれない」と印象を口にした。
 西さんの元には周囲から来年の出場を期待する声が届いており「おだてられたら、その気になる。『来年も出る』と自然と言葉が出る」と語る。
 今は家族の甲冑(かっちゅう)の修理や馬具の手入れに忙しい日々を送る。「息子も孫も面倒を見てくれたから野馬追に出られた。道具を直すのは恩返し」。来年も再び3世代で出陣すべく準備を始めている。