東京・八王子市の閑静な住宅街の一角に、近隣住民を悩ませる家がある。

近くに住む男性は「“ごみ屋敷”という感覚を持ち始めたのは、平成17年から18年ぐらい」と話し、20年ほど前から、そのごみ屋敷に苦しめられてきたという。

「イット!」が確認に向かったところ、異様な光景が広がるとともに、強烈なにおいが辺りに漂っていた。

ごみは家の敷地から大きくはみ出し、雪崩が起きたように道路まで広がった状態。
壊れた傘や洗剤の容器などの大量のごみは、建物の2階に迫ろうかという高さにまで積まれ、ハエや蚊が群がっていた。

こうした不衛生な状況に、近隣住民は長年苦しめられてきたという。

近隣住民「あれだけごみがあると、ちょっとしたことでも音がする。同居しているように、ネズミが四六時中います。もっとひどいのは、毎日のようにカラスがすごい。食べ物がないかと思ってみんな来るわけですよ」

取材班を自宅に招き入れ、インタビューに応じた男性。それには理由があった。

近隣住民「立ち話を気にされたら困る。当人が上から見てるかもしれないから。『何見てんだ!』ってすごい声ですよ」

50代の男性が1人で住んでいるという、ごみ屋敷。
八王子市には多くの苦情が寄せられていて、これまでに14回、ごみの撤去を行ったという。

しかし八王子市役所 廃棄物対策課・河内剛課長は「一回全部きれいにしても、結局また半年後同じことになる。土地所有者と引き続き、粘り強く話していかなきゃいけないと考えています」と話した。

ごみを撤去しても、わずか半年で元のごみ屋敷へ。
一体どういうつもりなのか、ごみ屋敷の住人を直撃した。

ごみ屋敷の住人の男性は「放置してないし、捨てるものは捨てている。片しているものは片している。追いつかないだけで、具合悪くて、1人でやってるし」と答えると、ごみの山を登り、家の中へと消えた。

「病気や経済的な困窮から、生活のためにごみを集めている」というのが本人の言い分。

市がごみを何度撤去しても再び集めてしまうという心理状態について、明星大学 心理学科・藤井靖教授は「何回片づけられても、別に誰かが来るわけでもないし、誰に見られて恥ずかしいわけでもないという感じになっている。社会的交流とか、人とのつながりを持つことが、結構(解決の)きっかけになる」と分析している。