JR西日本は、乗客などからの著しい迷惑行為といった「カスタマーハラスメント」いわゆる「カスハラ」に対する基本方針を制定した。

【動画で見る】「カスハラに対してしっかり対応」JR西日本が暴力・恫喝・従業員を撮影し投稿する行為などカスハラと定義

JR西日本 長谷川一明社長:
(鉄道は)朝早くから夜遅くまでいろんな場面で人と接する事業。残念ながらカスハラというものに対しては、しっかりと対応していく

■カスハラ行為などがあった場合、サービスや商品の提供を中止

JR西日本の基本方針では、暴力行為や恫喝に加えて執拗な言動、それに従業員を無断で撮影し映像をSNSに投稿する行為などを「カスハラ」と定義。

これに該当する行為などがあった場合は、サービスや商品の提供を中止するとしている。

■従業員が加害者に賠償求める際の相談体制も整備

また、被害を受けた従業員個人が加害者に対して賠償を求めるといった民事的な対応を弁護士に相談できる体制も整えている。

JR西日本 長谷川一明社長:
そこで働く社員の安全・安心、そして人権をしっかりと保たれる、確保されることが、いいサービスを提供していくうえでも必須の要件になってきている。行き過ぎたクレーム、不当な言いがかりなどのカスタマーハラスメントと判断される言動が認められた場合は、やむを得ず商品、サービスの提供やお客様対応を中止させて頂き、従業員を守るための毅然とした対応を行う

 この基本方針は、飲食店やホテルなどのグループ会社にも適用され、JR西日本は今後、カスハラの事例を集めたうえで、来年3月までに具体的な対応のマニュアルを作成したいとしている。

■「カスハラ」には毅然とした対応を ただ“正当なクレーム”との線引きが難しい部分も

JR西日本が「カスハラ」対策に乗り出す。背景に次のような事例が実際にあった。

・列車が遅れたことで駅の係員が暴言を吐かれた

・車掌の車内放送を録音・録画されSNSに上げられる

こういった行為をJR西日本は「カスハラ」と定義して、毅然とした対応を取るとしている。

ただJR西日本も『カスハラ』と『正当なクレーム』との線引きが難しいともしている。

鉄道会社としても対応に苦慮しているところがある。

京都大学大学院 藤井聡教授:
韓国であった『ナッツリターン事件』は、社長の娘さんによるものでしたけど、不当なことというのがありますから、そういうものを避けるというのは絶対必要です。そのためにこういう制度を使うことが極めて大きな一歩になると思います。ただ正当なクレームを受け入れる体制というのは、やっぱりJR西日本さんもしっかりと持っていただきたいので、カスハラのシステムということで、暴力的にカスハラという言葉を使うことは避けていただきたいと思いますね

■「これやったらアウトのラインわかればクレームはどんどん減るのではないか」

関西テレビ 神崎報道デスク:
セクハラとかパワハラという言葉が出てきて、認知が広がり、『これやったらアウト』と分かってきて、セクハラ・パワハラのケースは少なくなる傾向にあるんです。今カスタマーハラスメントという言葉が出てきて、お客さんがどこまでやったらアウトだという事例が分かって、アウトになるラインが明確になってくると、ひどいクレームはどんどん減ってくるんじゃないかなと思います

 お客さんの側の理解を進めるためにも、企業がマニュアルやガイドラインを作成しやすいようにするためにも、法整備の後押しも必要になってくるのではないだろうか

 (関西テレビ「newsランナー」 2024年5月24日放送)