浦和の攻撃を支えるグスタフソンへの対策を前半途中に修正

 川崎フロンターレは5月3日のJ1リーグ第11節で浦和レッズを迎え撃ち、3-1で6試合ぶりの勝利を収めた。試合後に鬼木達監督は「この試合に入る前からキーはそこだと分かっていた」と、浦和のスウェーデン代表MFサミュエル・グスタフソンへの対策と修正について話した。

 川崎は3月30日の第5節FC東京戦を最後に、4月を未勝利(2分3敗)で終えた。鬼木監督はこのゲームに向けて「勝負はここだという話を選手にしていた。それこそ、全員でという話を昨日にもした中で、出ている選手だけでないすべての選手が勝利に関わったと思うし、5月に巻き返すという思いを選手に伝えている」と、試合前時点で勝ち点9の16位という状態からの反転攻勢をもくろんでいた。

 その思いのままに前半18分に右サイドのスローインからFW家長昭博がゴール前にクロスを入れると、相手に当たってコースが変わりこぼれたところをMF脇坂泰斗が蹴り込んで先制した。しかし、その後は浦和にボールをコントロールされ、川崎のプレスも空回りした。前半35分には同点に追い付かれるが、直前にも中盤を簡単に突破されて決定機を作られていた。

 そのキーマンになっていたのが浦和のグスタフソンだった。試合後に「前半は川崎のプレスもあまり良くなかったと思う。見ての通りかなり自分にスペースもあった。しっかり相手のMFと最終ラインの間にスペースも見つけられていた」と話したように、このプレーメーカーから次々にいいボールが供給されて浦和の攻撃に迫力が出ていた。

 鬼木監督は試合後会見で、この状況について「元々この試合に入る前からキーはそこだと分かっていたが、自分たちの形で押し出しながら消していきたかった。前半に点は取ったが抑えきれない感じがあったので前半の途中で修正をかけた。ただ、その手前くらいで失点してしまった」のだと話した。

鬼木監督は「守備がハマらなかったのは私の反省点」と言及

 そして、ハーフタイム明けにMF遠野大弥を相手のビルドアップ時にFWバフェティンビ・ゴミスと並ぶ2トップのような形にしてグスタフソンへのコースを制限する形でハッキリさせた。これによって浦和はビルドアップでのリズムを失い、後半の立ち上がりに川崎はゴミスが前線で身体を張ってロングボールを収めると、そこに合わせて川崎が押し上げてきたところでDF佐々木旭がドリブル。浦和の対応が中途半端になってる中をそのままドリブルで進み、ペナルティーエリア内まで入ったところで右足シュートを決め2-1と勝ち越した。

 最終的に浦和が前がかりになった試合終盤の追加点で3-1の勝利となったが、これは6試合ぶりのもの。1か月以上も勝利から離れていただけに、鬼木監督は「選手、スタッフがサポーターの応援に応えようという思いが伝わるようなゲームだったと思う。最初からアグレッシブにいこうと送り出していい形で先制したが、守備がハマらなかったのは私の反省点。そこで耐えて、後半に整理したことで自分たちらしくやってくれた。2点目のあとに決めきれずに2-2とされてもおかしくなかったが、そこで全員で耐えたことが3点目につながった」と話す。

 そして、「非常に気持ちのこもった戦いだったと思う」とこの試合を表現した。地力があるのは間違いない近年のJ1を引っ張ってきたチームの1つだけに、この浦和戦の勝利が1つのキッカケになるのか今後が注目される。

FOOTBALL ZONE編集部