1点を返すも巻き返すパワーはなし

 浦和レッズは、5月3日に行われたJ1リーグ第11節で川崎フロンターレとのアウェーゲームに臨んで1-3で敗れた。全体的にチームが疲労感を隠せない試合を展開し、後半立ち上がりに1点ビハインドを背負ったところから巻き返すパワーがなかった。

 浦和はFW前田直輝が登録メンバーから外れ、FW大久保智明がスタメン復帰。また、DF大畑歩夢がU-23日本代表の活動に参加しているため欠場した。4月20日の第9節ガンバ大阪戦を終えてから中3日または中4日の試合が3試合目となったが、コアメンバーはルヴァンカップの1stラウンド2回戦ガイナーレ鳥取戦を含めスタメン出場が続いている。

 前半18分にスローインからあっさりと失点したが、その後はペースを取り戻した。プレーメーカーのMFサミュエル・グスタフソンを中心にボールが動き、左ウイングの位置をスタートにするFW中島翔哉も局面での技術を見せた。そして、前半35分には左45度付近で前を向いた中島のクロスに大久保が飛び込んで同点ゴールを奪った。

 しかし後半4分にFWバフェティンビ・ゴミスのボールキープを許し、そこに合わせて川崎が押し上げてきたところでDF佐々木旭がドリブル。浦和の対応が中途半端になってる中をそのままドリブルで進まれ、ペナルティーエリア内まで入ったところで右足シュートを決められた。DFアレクサンダー・ショルツは「いろいろな要素があったにしても、もっといい守り方ができたと思う」と話し、並走していた大久保については「やるべきことをやっていた」として自身の位置取りやプレー選択に目を向けた。

 このあとの時間帯は、川崎がグスタフソンへの対応をハッキリさせたにしても反撃のパワーを感じられないものになった。ペア・マティアス・ヘグモ監督は試合後の会見で「サミュエルが消された場合は伊藤敦樹と安居海渡にスペースが生まれやすくなる。でも、サイドバックのところでのビルドアップでよりいい形ができると思った。ボールを持った時に1対1で相手を抜くようなプレーが多くても良かったと思う」と話した。

石原と渡邊の酷使は懸念材料

 しかし、そのパワーを与えるべきサイドバックは右のDF石原広教、左のDF渡邊凌磨ともこの連戦でフル出場を続けている。そこで1対1の突破やダイナミズムを求めるのは難しいのではないか。

 ヘグモ監督は「90分のゲームが続くなかで疲れを抱えているなかでプレーしていたと思う。ただ、大畑が代表に参加していて酒井宏樹が怪我。選択肢があまり多くない状況で戦っている」と話す。たしかに一発勝負のトーナメント戦は何があるか分からないものだが、鳥取戦の使い方次第で少し違う状況もあっただろう。

 後半27分にタイ代表MFエカニット・パンヤと、沖縄県トレーニングキャンプ中の負傷から復帰して今季の初出場となるFWブライアン・リンセンをピッチに送り込んだ。ラスト5分ではFW興梠慎三とルヴァンカップでチャンスを掴んだMF武田英寿も投入したが、1点を追いかけたい気持ちとプレーが全く噛み合わない状況に相手ゴール前に圧力はかからず、カウンターで3点目を奪われた。リンセンは「僕が入る前にかなりスタミナを消費していた。攻撃の勢い、ゴールを決めるパワーは全体的に不足していたのかもしれない」と話した。

 この状態から中2日で5月6日には次節の横浜F・マリノス戦を迎えることになる。指揮官はメンバーを入れ替えるなどの手を打つのか、そのやり繰りが注目される。

FOOTBALL ZONE編集部