黒田監督は鹿島戦の位置づけが変わってきていることを示唆

 鹿島アントラーズといえば、計20ものタイトルを獲得している名門中の名門だ。対戦相手は鹿島戦に特別な警戒心やある種の畏怖の思いを持って試合に臨むことが多かった。だが、そんな時代は変わってきたのかもしれない。

 5月22日に行われたルヴァンカップ1stラウンド3回戦、FC町田ゼルビアが2-0で鹿島に完勝し、プレーオフラウンドに進出した。J1リーグ第3節でも1-0で鹿島を破っていた町田は、2試合連続の完封勝利となっている。しかも、町田はこの試合、3日前に行われたリーグ戦の東京ヴェルディ戦(5-0)から先発10名を入れ替えて臨んでいた。

 過去最多6度のルヴァンカップ優勝を誇る鹿島を、ターンオーバーしたなかで勝てたことは、チームの戦術浸透度が示されたとともに、チームにとって大きな自信になるはずだ。だが、黒田剛監督は、鹿島戦の位置づけが変わってきていることを示唆した。

「もちろん伝統、歴史を本当に多く刻んできているチームだという感覚はありますけど、どちらかと言と今の若い選手たちは、あんまりそういう印象がないのか、あまり気にしていないのかなと思います。我々には昌子源という(鹿島の)強かった頃のディフェンスの柱としてやっていた選手がいますけど、若い選手はその時代のことをあまりよく覚えていない。それくらい時代が変わってきたなという印象も受けます。あまり苦手意識を持たない。我々のほうがむしろ意識してしまう」

 鹿島がタイトルを獲り続けていた時代をよく知る黒田監督らコーチングスタッフのほうが、鹿島戦を強く意識することを明かした。

 さらに、「若い選手たちは(鹿島戦を)意識せずに、まずは町田のサッカーをしっかりと志向する。誰が出ようと、どんな相手が来ようと、自分たちの役割をしっかり果たすところに舵を振ってできている。そこがさすがだなというところと、さすが今のZ世代の子たちなのか、昔とは違う発想があるのかなとすごく感じます」と、選手が多く入れ替わったなかでも、黒田監督率いる町田のサッカーをしっかりと示したチームに対して、頼もしさを強く感じたようだ。

FOOTBALL ZONE編集部