●ブライトンがクラブ史上初の欧州大会出場権獲得

プレミアリーグ第37節、ブライトン対サウサンプトンが現地時間21日に行われ、ホームチームが3-1の快勝を収めた。この勝利で来季の欧州カップ戦出場権獲得を決め、三笘薫もアシストで勝利に貢献をしたが、試合後のレーティングではワーストタイの評価だった。一体なぜ。(文:安洋一郎)

 ブライトンがクラブ史上初の欧州大会出場を決めた。現地時間21日に行われたサウサンプトン戦で3-1の快勝を収め、最低でもUEFAカンファレンスリーグ出場圏内の7位以内で終えることが確定した。

 またUEFAヨーロッパリーグ(EL)出場もほぼ手中に収めており、残り2試合のマンチェスター・シティ戦とアストン・ヴィラ戦で2連敗を喫しても、7位のヴィラとの得失点差16がひっくり返らない限りは6位でのフィニッシュとなる。

 クラブの歴史に名を刻んだ指揮官ロベルト・デ・ゼルビは、試合後のインタビューで「私のキャリアの中で最高の日のひとつ」と満面の笑みで喜びを表現した。

 この試合でも左WGで先発出場した三笘薫は、チーム2点目をアシスト。左サイドで相手のパスをカットするとそのまま縦に突破し、相手CBが適切なポジションを取る前に右足アウトでファーのエヴァン・ファーガソンへとパスを通して、アイルランド代表FWのゴールをお膳立てした。

 勝利に貢献した日本代表FWだったが、データサイト『Sofa Score』のレーティングを見てみると、フィールドプレイヤーではCBのルイス・ダンクと並んで「6.6」というワーストタイの評価になっている。

 アシスト含めラストパス4本を記録するなどチャンスを作りだしていたにも関わらず、なぜ評価は上がらなかったのだろうか。

●決めなければいけなかった2つの場面

 この試合で三笘薫には3度のシュートチャンスがあった。特に2つは絶対に決めなければいけない絶好機だった。しかし、その全てのシュートが枠に飛ばず、チャンスをフイにしている。

 1つ目の決定機が8分の場面。CBルイス・ダンクからのロングボールをサウサンプトンDFヤン・ベドナレクが頭で弾き返すも、そのこぼれ球を三笘がサウサンプトンの選手よりも先に反応。ボールを奪ってから一気にボックス内に進入すると、冷静に相手CBをかわして右足でシュート。自らのドリブルでコースも作っていたが、フィニッシュは枠の右へと外れた。

 そして2つ目が21分のシーンだ。サウサンプトンのGKアレックス・マッカーシーとCBベドナレクの間で連係ミスがあり、三笘がボックス手前でパスカット。その勢いのままGKと1対
1を迎え、冷静にボールを浮かせてループシュートを放ったが、左ポストを直撃した。

 この2つの決定機を逃したことの印象はかなり悪い。少なくともどちらかはゴールに結びつけなければいけなかったが、いずれも枠内にシュートを飛ばすことすらできなかった。

 この2つのシーンの間にサウサンプトンはカウンターから先制点を奪うチャンスを迎えており、仮にここで失点を喫していた場合はこのようなスコアに終わっていなかっただろう。

 というのも、デ・ゼルビ監督の下でブライトンは10試合で先制をされているが、1勝1分8敗と試合をひっくり返せたケースがほとんどない。立て続けに先制点を奪うチャンスを外したことで、三笘は危うく戦犯になりかけた。

●ゴールを決めていた以前、以後で決定的に変わったこと

 この2つの場面を見ればわかると思うが、三笘はファーストタッチからシュートに持っていくまでのプレーはほぼ完ぺきだ。顔を上げてドリブルをすることができているため、相手選手の状況を見て、シュートブロックされない位置までボールを運んでシュートを打てている。

 21分の場面に関してはループシュートを放っており、冷静な状況判断もできている。

 となれば、課題は明確で「決定力」だ。三笘は4月1日に行われたブレントフォード戦以降、公式戦11試合連続でゴールがない。そもそもシュートを打てていないとなれば話は変わってくるが、途中出場からの試合も含めて全11試合でシュートを放っている。

 プレミアリーグでは今節のサウサンプトンを含めて22本連続でシュートがゴールに結びついていない。その内訳を見てみると、GKに止められた枠内シュートが5本、シュートブロックにあったのが4本で、枠外が13本となっている(データは『Sofa Score』を参照)。

 最後にゴールを決めたブレントフォード戦以前の20試合でのシュートの内訳が枠内シュート14本、枠外シュート6本、シュートブロックが5本だったことを踏まえれば、その違いは一目でわかるだろう。

 シュートが枠に飛ばなくなってから一気にゴールを奪えなくなっており、その間に枠外へのシュートが急激に増えている。今節の決定機逸もそうだが、ややコースを狙いすぎている節がある。まずは枠内シュートと枠外シュートの比率をブレントフォード戦以前に戻すことが、目先の宿題となるだろう。

 ブライトンは残すところあと2試合。三笘はマンチェスター・シティとアストン・ヴィラという難敵相手にゴールを決めて、このゴールが決まらない呪いを払拭することができるだろうか。

(文:安洋一郎)