●パリ五輪出場権を獲得したサッカーU-23日本代表

 AFC U-23アジアカップ2024カタールを制したU-23日本代表の国内組とスタッフが4日に帰国した。羽田空港で取材に応じた大岩剛監督と山本昌邦ナショナルチームダイレクターは、今後のスケジュールとパリ五輪本大会でのオーバーエイジ(OA)枠の活用について言及している。

 パリ五輪に出場できるアジア枠は3.5で、パリ五輪予選を兼ねた今回のアジアカップでは上位3チームに出場権が与えられ、4位はアフリカ勢(U-23ギニア代表)とのプレーオフに進むというレギュレーションだった。準決勝でU-23イラク代表を下してパリ五輪出場を決めたU-23日本代表は、決勝でU-23ウズベキスタン代表を下して通算2度目の優勝という快挙を成し遂げている。

 大会制覇の喜びも束の間で、チームはパリ五輪に向けた準備を進める。次の活動は6月のインターナショナルマッチウィークに組まれる強化試合だが、山本ダイレクターは「我々が勝てる(パリ五輪出場権を得られる)か分からない中で準備を進めてきた」という状態。「一番大事なのは本番にどれだけいい戦力で、いい状態の選手を整えられるか」と本大会に向けてできる限りの手を尽くす。

 五輪の成績を左右するのは最大3枠を活用できるOA枠。「使うと言えば、必ず使わなきゃいけないことになると思うけど、ルールとして(OA枠を使用するのは)オッケーなので」と大岩監督は明言を避けている。

 ただ、「こちらの希望が叶うこととは全く別」とも述べている。そこには複雑な状況があるのもまた事実である。

●「山のようにやらなきゃいけないことがある」「今は本当にフラットな状態ですよ」

 パリ五輪はIW(インターナショナルマッチウィーク)外に行われるため、クラブは選手を派遣する義務はなく、日本サッカー協会(JFA)側が希望した選手を招集できるとは限らない。これはU-23世代の選手にも言えることで、久保建英や齊藤光毅らが招集できるかどうかは依然不透明であり、OAについても選手本人と当該クラブが了承しない限りは招集することはできない。

 状況をさらに複雑にするのはスケジュールである。山本ダイレクターは「(6月は)ヨーロッパのシーズンがちょうど終わって、移籍が色々複雑になってくる。その情報収集やミーティングをしっかり組まないといけない」と言う。それに加えて、本大会メンバー18人を絞り込む前にラージリストの登録もある。自国開催で予選が免除されていた3年前とは全く状況が異なるのだ。

 山本ダイレクター曰く「山のようにやらなきゃいけないことがある」という中で、「3倍速ぐらいの感覚で用意していかないといけない」という中で、U-23世代で招集できる選手をリストアップしながらOA枠の選手やクラブとの交渉も進めていく。それらの見通しが立つ時期はクラブによって、選手によってまちまちとなる。

 もっとも、大岩監督はOA枠を使用しない可能性を否定していない。

「ご存じの通り、U-23の選手たちが非常に成長したので、そういう線(U-23だけで臨む可能性)もある。(OA枠を)使うことがあるかもしれないし、(最大の3人より)人数が少ないかもしれない。今は本当にフラットな状態ですよ」

 今大会で評価を高めた選手もいれば、今回選ばれなかった選手の中でもパリ五輪行きの可能性がある選手もいる。もちろん、アジアカップ前から準備は進められていたが、交渉はここから大詰めを迎えることになる。あらゆるケースを想定しながら、戦力を最大化できるように交渉を進め、ラージグループの選定を経て最終メンバー18人が絞り込まれる。

(取材・文:加藤健一)

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