子どもの教育に熱心な「教育ママ」は、往々にしてわが子へ一方的に勉強を押しつけかねません。結果として子どもの個性をつぶしたり、親子関係が悪くなったりするケースもあります。今回は「元教育ママ」が「教育祖母」になって、孫育てに失敗したエピソードをご紹介します。

孫の教育に熱心な義母

友人A子の義理の両親は、元教員です。

とくに義母は教育熱心で「テストは満点以外は認めない」ことを徹底。

なので、夫はいつも母からのプレッシャーを感じて育っていました。

義母の教育ママっぷりは、孫が生まれてからさらに過熱。

孫が小学生になるころには、毎日自宅で勉強を教えるようになりました。

成長した孫たちが義母を避けるように……

A子はフルタイムで働いていたので、4人の子どもたちの下校後に宿題をみて、そのうえ勉強まで教えてくれる義母にとても感謝していました。

しかも義母のおかげで、子どもたちは勉強が得意になったそうです。

しかし孫たちが高学年や中学生になると、頼んでもいないのに勝手に学習塾に申し込んだり、大学の公開授業に連れて行くようになります。

思春期の子どもたちは、おばあちゃんよりも友達と過ごす時間を優先させたかったのでしょう。

義母からの誘いを断るようになりました。

勉強より運動が好きな孫たち

とくに、下の子たちは勉強よりも体を動かすことが大好きで、下校後はすぐ公園に遊びに行くような子でした。

そんな二人に義母は「宿題が終わらないと遊びに行かせません!」と命令。

口うるさいおばあちゃんに、孫たちもだんだんと嫌気がさし、A子の前で「おばあちゃん嫌い」と言い出すようになりました。

孫全員から疎まれて嫌われた義母

ある日事件が起きます。

次男が、算数のテストで30点をとったのです。

義母はテストを見るなり「私がこんなに教えているのに! 何よこの点数は!」と激怒。

孫から疎まれているとは、つゆとも思っていない義母。

なんとこの日は、次男に何時間も算数を教えたんだとか……。

この様子を見ていた長男・長女もおばあちゃんの態度にかなり不信感が募ったのか、A子に「自分たちはおばあちゃんのために勉強してるんじゃない!」と不満をぶつけました。

この日を境に義母は孫たちから完全に嫌われてしまい、今では孫たちは誰も義母宅に寄り付かなくなったそうです。

必ずしも「教育ママ」は悪ではありません。

子育てに関心を持つことは、良い親子関係を築くうえでも大切です。

筆者は、程度の問題だと思っています。

「子どものために」と押しつけるのではなく「個性を伸ばすにはどうすればいいかな?」と、子どもたちの可能性を引き出すように子育てしたいですね。

ftnコラムニスト:広田あや子