米政府は3日、インフレ抑制法に基づく電気自動車(EV)の税優遇の最終規則を発表した。中国などに本社を置く事業者が生産した重要鉱物を含むEVは2025年に対象から外す方針だったが、制限を緩和。中国依存度が高いとされる黒鉛など一部材料に2年の猶予を設けた。バイデン政権がEV政策で中国に事実上譲歩した形だ。AP通信によると、一部の上院議員は「事実上『中国製』を支持していることになる」と批判した。厳しい対中政策を掲げるトランプ前大統領に格好の批判材料を与えそうだ。

最終規則は中国のほか、ロシアや北朝鮮、イランの4カ国に本社を構えたり、4カ国の政府が議決権の25%以上を保有したりする場合を「懸念される外国事業者」と指定。事業者が加工などをした重要鉱物を含むバッテリー搭載のEVは25年から優遇対象から除外することとしたが、例外措置を設けた。関係者からの要望を受け、黒鉛などは生産過程を正確に追跡するのが難しいとして、27年からの適用とした。

優遇措置は1台当たり最大7500ドル(約115万円)が控除される仕組み。厳しい対中政策を打ち出そうとしているバイデン政権だが、EV普及を優遇するには中国との取引を継続せざるを得ず、矛盾が生じている。