食いしん坊な人も、それほどでもないという人も、生きている限りお付き合いし続けなくてはいけないのが「食べ物」。でも、あまりにも身近で当たり前すぎて、意外と知らないことだらけ。この連載では知ると思わず「へ〜!」「ほ〜!」知っていたほうがお得かもしれない、いつか自分の身になるかもしれない。そんな食べ物トリビアを紹介します。

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実は、毎年春もアニサキス症が急増しています

アニサキスは長さ2〜3cm、太さ1mmに満たないほどの、糸状の小さな寄生虫です。アニサキスの幼虫は魚介類に寄生しています。

原因になりやすいのは、サバ、カツオ、イワシ、イカ、アジ、サンマ、ヒラメなど。魚介に寄生したアニサキスの幼虫が生きたまま人間の体内に入ると、胃壁や腸壁に食いつき、激しい痛みを引き起こす……。これがアニサキス症が起こる仕組みです。

アニサキスのニュースが増えるのは秋というイメージがあるかもしれません。でも、実際にアニサキス症は1年中発生しており、件数が増えるのは秋だけではありません。

実は、毎年春もアニサキス症が急増しています。

あくまで推測ですが、春は気温が上がり刺身を食べたくなる季節であることや、初鰹が旬を迎える季節。秋はサンマを食べる機会が増えることもあり、ほろ苦い内臓も美味とされることから、アニサキスを口にしてしまう確率が上がる。こうした季節感も理由のひとつかもしれません。

厚生労働省の統計によると、すべての食中毒のうちアニサキスが原因の食中毒の事件数はなんと約40%! 軽めの腹痛やおう吐で病院にかからずに自然治癒するケースも珍しくないので、実際の数はもっと多いはずです。

つまり、アニサキス症は、魚介を食べている以上、誰もがかかる可能性があるのです。アニサキスにやられないための注意点、もしアニサキスにやられたらどうすればいいのか、アニサキス対策を総ざらいしておきましょう。