『流浪の月』、『汝、星のごとく』で本屋大賞を受賞し、『美しい彼』はドラマ化&映画化され世界的なヒットとなった、作家の凪良ゆうさん。デビューから17年間の歩みが詰まったファンブック『ニューワールド 凪良ゆうの世界』の刊行に際し、新宿・紀伊國屋ホールでトークイベントが開催され、後半では凪良さんのファンであるTHE RAMPAGEの岩谷翔吾さんが登壇しました。

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凪良ゆうさんが読者の質問に答える

イベントは2部構成となっており、前半では凪良さんが読者から事前に集めた質問に答え、後半にLDH JAPANに所属する、THE RAMPAGE from EXILE TRIBE・岩谷翔吾さんが登場。読書が趣味で、集英社が刊行する情報誌『青春と読書』でブックレビュー小説を連載中の岩谷さんと、創作について語り合いました。

前半の読者からの質問コーナーでは、「『美しい彼』にまつわるエピソードがあれば、どんな些細なことでも教えていただけると嬉しいです」といった、『美しい彼』に関する質問が多数届いていたそう。

ドラマ化もあり、世界的ヒットとなった同作品。凪良さんは、「今まではボーイズラブのファンの方だけが読んでいたところに、映像化で俳優さんのファンの方にも届くようになりました。より多くの方に読んでいただくことができて嬉しい」と、ヒットへの感謝を話しました。

『美しい彼』は小説シリーズ4巻で累計35万部を突破しており、次回作にも期待が高まります。

凪良さんの作品に関すること以外の質問も多かったとか。例えば「周りの同年代が、仕事や家庭でステップアップしているのを見ると、焦燥感が拭えません。比べても意味はないと思いつつ、どう折り合いをつけたらいいですか?」と人生に関する内容も。

そんな質問に対して凪良さんは、「比べることに意味はないと分かっていても、焦ってしまうのが人間。私もすごく周りの人と自分を比べて焦るので、気持ちはとても分かります」と、質問者と同様の焦りを感じることがあると回答。

「すごい物語を書く人や、ハイペースで新作を発表する人を見ていると焦りますね。でも、人生において何が大事か、どこでステップアップするのかは、本人が目指しているところ、地点でも変わってくると思います。私が小説家としてデビューしたのが35歳頃です。30代半ばからでも、これから一生やっていきたいと思う仕事に就くことはできるし、焦っても自分を見失わないことが大切。作家の世界も、苦節十年の人もいれば、デビュー作で駆け上がる人もいる。焦りながらも自分は自分と割り切り、本人のペースで頑張ることができれば、それで良いのではと思います」とエールを送りました。

他にも人生観にまつわる質問は続き、「夢を追い始めた時、追っている時に心が折れたことがありますか?それともずっと自信があって追いかけて来られたのでしょうか」と、挫折に関する相談も。

それに対して、本屋大賞受賞や作品の映像化など、大きな成功を遂げた後でも、「心が折れたことなんて何回もあるし、今も頻繁に折れています(笑)」と凪良さんの本音が明らかに。

それでも、執筆活動を諦めたことはないと言い、「例えば、原稿に編集者から容赦なく赤が入ってきたとき。それに納得できることもあれば、どうしても納得できない時もある。話し合った結果、後でやっぱり私が間違っていたことが分かると、心が折れますね。出版した本が酷評を受けたりしても折れます。一晩寝たら直るのですが(笑)。私も自信がない人間なので、(自信が)欲しいなと思っています」と、自信が無いことを話した凪良さん。心が折れながらも進む姿に、勇気づけられる人も多かったはず。