今年1月からNHKで放送中の大河ドラマ『光る君へ』。主人公は平安時代のベストセラー『源氏物語』を書いた紫式部。そんな彼女と同じように、近代の女流歌人として活躍し、『源氏物語』の翻訳を3度試みた与謝野晶子。今回は与謝野晶子が書いた評論集の中から、選りすぐりの言葉や詩を紹介します。与謝野さんいわく、「どんなによい家庭であっても子どもにとっては単調に思える」そうで――。

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思春期は無理に押さえつけない

男の子も女の子も、中等教育を受けるようになれば、もうすでに一人前になりつつあります。

どんなによい家庭であっても、赤ん坊のころから慣れている環境ですから、子どもにとっては単調に思えるでしょう。

その反対に、家庭以外で見聞することは、ことごとく新発見の刺激と驚きをもたらすものです。

自分の家の手の込んだ料理よりも、よその家や宿泊施設の粗食のほうを珍しがったりもします。

父母きょうだいの話よりも、友人の意見のほうが新鮮味や魅力に富むものです。

巣立とうとする鳥を、無理に押さえつけてはなりません。