2023年シーズン、阪神タイガースは1985年以来、実に38年ぶりの日本一に輝きました。「ミスタータイガース」の愛称でファンに愛され続ける掛布雅之さんは、ここまでの阪神の歩みをどのように振り返り、現在の球界をどう捉えているのでしょうか? その著書『虎と巨人』から一部を紹介します。

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野村、星野の外様監督で新しい風

阪神の歴史を振り返ると、野村克也さん(1999〜2001年)、星野仙一さん(2002年〜03年)と、阪神以外のOBが監督として新しい風を入れたことが転換期となりました。星野さんが2年目の前に半分ぐらい血の入れ替えを行いましたから。

その中の一人が広島からFA(フリーエージェント)で獲得した金本知憲でした。星野さんの剛腕で勝てるチームに変えたのですが、やはり一番大きかったのは金本の存在です。

阪神の歴史で金本のようなタイプの選手はいなかったと思います。だから星野さんは、金本を広島から獲ることによって、チームの根っこの部分を変えたい気持ちがあったはずです。

古くは藤村富美男さん、田淵幸一さんにしても私にしてもそうですが、阪神にはホームランを打てる四番打者像がありました。金本の阪神移籍1年目は三番でしたが、2年目に四番を打ちました。