PMS実況中継

30歳で軽度の子宮内膜症が発覚して以降、ピルと加味逍遙散(かみしょうようさん)という漢方薬を服用している。産婦人科へ通院するのは面倒だけど、この2点のおかげで生理の辛さは半減。経血量もナプキン1日1個程度で済むし、おおよその経血スケジュールはズレない。

それが45歳を超えた頃、どうも様子がおかしくなってきた。いわゆるPMS(月経前症候群)と、お年頃による更年期のような症状も併発。その様子を実況中継したい。


(写真はイメージ。写真提供:photoAC)

まずは生理の1週間前から「今、成長期ですか?」というくらい、無駄に食欲が勃発。食欲の増加はSNSでもよく見かける症状だ。この時期だけ、一人暮らしのエンゲル係数が右肩あがりになってしまう。

(私の1カ月の売り上げもこうなったらいいのに)

そう思いながら、昼食後にアイスとおにぎりを追加。食べた後に残るのは後悔の念のみ。食欲は増えているのに、体が溜め込む期間になる生理。加えて手強い便秘もやってくる。

そして面倒なのが、気分のアップダウン。人にもよると思うが、朝から晩まで悲劇のヒロイン化して、余分なことを考えてしまう。普段ならすぐに流すようなことも、脳裏から離れることがない。

(……私、結婚も出産もしないで、人生落ちぼれだよね……。ごめんね、お母さん……)
(メールの返信は遅い、言い訳三昧のこいつめ、二度と仕事しない!)

悲劇のヒロインは止まることがない。こういう時は一人でいると心理状態がますます悪化していくので、酒場に出るか、寝る。ちなみに酒場に出かけた帰りは、旺盛な食欲によりコンビニで爆買いも敢行される。

あとはとにかく体がだるく、許されるのならずっと横になっていたい。先月の生理期間はこの症状に加えて、魔の低気圧も重なった。こうなると

(体が床に吸い込まれているんじゃないだろうか)

と思うほど、眠気が増す。ここまでくると、何もかもあきらめて寝る。すると生理前日を迎えて、腰にちょっとした違和感が起きる。出血のサインだ。最近は若干の痛みを伴うようになってきたので、鎮痛剤も出動する。で、出血が始まると一気に体が楽になる。

「昨日までの私、一体何だったのかしら? は? 結婚? いやだよ、今さら。私の人生を邪魔されたくはないもん。メール返信? 時には遅くもなるよねえ」

ハイジのようにスキップしたくなるほど、心身ともに快適。便秘も解消、食事も美味しい。これもピルを飲んでいるからなのかわからないが、私に至っての経過。通常は出血してからも大変だと聞くので、本当に生理とは苦行。毎月訪れる滝行だ。

XとY。染色体のちょっとした組み合わせによって、XとXになっただけなのに、毎月病気にかかっているものなのだ。