昨年から、急に4〜10 月くらいに、足先・足の重なる部分の毛を舐めたり噛んだりして、だんだん抜けています。病院では「アトピー性皮膚炎かな」と言っていますが、冬は噛まなくなり毛がまた生えていましたが、 また今年も4月からだんだんこのように後ろ足を噛んで毛を抜いていて、昨年より急にひどくなっています。 症状・原因がわかれば、ご教授をお願い致します。(柴犬、けんたさんの相談)

【お答えします】
福井県獣医師会 開業部会
ラーバンの森動物病院(福井県坂井市) 竹内美峰院長

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 趾間皮膚炎(しかんひふえん)とは、趾間(足先)の指の間、肉球に炎症が起こり、舐めてしまって発赤、腫れ、脱毛、痛みを伴う皮膚炎です。自分で咬んで悪化することもあります。

◆趾間皮膚炎の原因は?

 原因は、アレルギー、アトピー性皮膚炎など免疫的な問題、細菌・真菌などの感染症、寄生虫、代謝性疾患、心因性、異物、外傷、火傷、環境因子、爪の病気、などが考えられます。また生活する床が金属金網のケージや砂利などの刺激がある場所などの環境や、肥満も足先にかかる負担が大きくなり症状を悪化させる要因となります。

◆どうやったら治る?趾間皮膚炎の治療法

 治療は、感染症があれば感染症の治療を行い、炎症や痒みを抑えるための内服薬を用います。外用薬もありますが、舐めやすい場所なので、主に内服薬で治療していきます。

 異物がないか、ニキビダニなどの寄生虫の感染がないか、爪の問題はないか、アレルギーやアトピー性皮膚炎が疑われるならその治療、足先だけ定期的にシャンプーで洗浄する、飼育環境(犬舎のスペース、散歩や遊びの時間、飼い主とのふれあいを増やすなど)や犬の性格を考慮するなど原因や症状によって選択する治療は異なることがあります。

 痒みが強く舐めてしまう場合は、エリザベスカラーや包帯などで一時的に患部を舐めさせないようにすることも必要になることもあります。

◆予防法、悪化を防ぐ方法は…

 趾間皮膚炎は予防法があるわけでなく、治療が長期に及んだり、再発することも多いです。

 趾間皮膚炎を悪化させないためには、舐めさせないことが大切です。普段から、飼育環境を清潔に保つ、いつも濡れている環境は避ける、爪の問題はないか定期的につめ切りをする、足裏の毛を短くしておく、外から帰ったら趾間を清潔にする、肉球クリームなどで保湿する、肥満にならないよう体重管理をする、など気を付けることで早期発見につなげることが出来ます。

 お散歩が気持ちいい季節になってきました。暖かくなるこれからの季節は皮膚トラブルやノミ・ダニなどの寄生虫の皮膚炎が多くなる季節でもあります。日頃から状態を観察して、悪化する前に、早期発見・早期治療につなげていけるといいですね。

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 「ペットドクター相談室」は、ペットの悩み事や疑問、不安をネット上で募り、福井県内の獣医師が回答するコーナーです。寄せられた相談は、県内35の動物病院が所属する福井県獣医師会で、小動物の診療に携わる「開業部会」の獣医師が回答します。