その土地で採取した土と水を使って描く泥絵や、立体アートで知られる美術作家、淺井裕介さんの個展「星屑(ほしくず)の子どもたち」(福井新聞社共催)が4月27日、福井県あわら市の金津創作の森美術館で開幕した。今にも動き出しそうな不思議な生き物たちをかたどった小さな陶器作品や、福井をはじめ全国各地の土を使って動植物を描いた泥絵が来館者を楽しませている。

 淺井さんは1981年、東京都生まれ。さまざまな素材を使ったドローイング、抽象画、巨大壁画、泥絵、陶器などを手掛け、国内外で活躍している。

 個展タイトルにもなった100点以上の陶器作品「星屑の子供たち」は、福井の土を使用。キツネや鹿、竜のようにも見える動物をモチーフにした手のひらサイズで「地球の表面を削って作った人工物」(淺井さん)というイメージ。目、口、手などがあるが、どれもこの世にはいない生き物。訪れた人たちは写真に収めながら、一つ一つじっくりと鑑賞していた。

 一番奥の部屋には、靴を脱いで作品に乗って鑑賞できる床一面の巨大泥絵がお目見え。動植物が密に描かれ、命のつながりを表現していて、淺井さんは「自然と人との距離感を、作品を足で踏みながら体感してほしい」と話す。

 ほかにも、一つの絵に見える2枚の泥絵の左右や上下を入れ替えると別の絵に見える作品(1日1回展示替え)や、105日間の展示期間に合わせ、泥で描かれた105輪の花が毎日1輪ずつ水で消されていくものなど、何度も訪れることで作品を楽しめる仕掛けもあり、来館者の関心を集めていた。

 会期中、館内レストランで淺井さんが監修したチュロスとティラミスのスイーツを、淺井さんが制作した皿で販売する。

 8月25日まで(月曜休館)。一般600円、65歳以上、障害者300円、高校生以下、介護者は無料。4月28日午前11時からアーティストトークがある(先着30人)。金津創作の森美術館=電話0776(73)7800。