北陸新幹線敦賀以西の整備について、米原駅につなぐ「米原ルート」への転換を求める声が石川県の一部などから上がっている。小浜・京都ルートの認可・着工に向けた進展が見えないことが原因だが、与党の議論で既に決定したルートの変更を求める声に福井県内の関係者から困惑の声も上がる。米原ルートは工期こそ短いが、想定される米原駅での東海道新幹線への乗り換えがデメリットで、新大阪までの所要時間も長く、識者は投資効果が乏しいと指摘する。

▽東海への乗り入れ困難

 敦賀以西の整備を巡っては、与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム(PT)が「小浜・京都」「米原」「小浜・舞鶴・京都(舞鶴)」の3ルート案を検討。新幹線整備の認可に必要な「着工5条件」で同意が求められる営業主体のJR西日本の意向も踏まえ、小浜・京都ルートが最も利便性、速達性が高いとして2016年に決定した。

 当時、国土交通省が示した試算では、総延長は小浜・京都が約143キロ、米原約50キロで、工期が小浜・京都15年間、米原10年間。総事業費は小浜・京都約2兆1千億円、米原約5900億円となり、米原の方が整備距離や整備費は小さい。一方、福井―新大阪間の所要時間は小浜・京都が約55分、米原は約1時間17分。運賃は小浜・京都が米原に比べて3千円以上安かった。

 さらに、JR西は米原ルートの場合、東海道新幹線のダイヤが過密な上に信号システムが異なるため、北陸新幹線の車両乗り入れは困難との見解を示していた。