イトーヨーカドーの撤退で福島県内経済への悪影響も心配されるが、一方で経済が明るくなる動きもある。福島県が「フクシマ5スターズ」と呼ぶ、県内を拠点とする5つのプロスポーツチームだ。
今回は、2024年4月に郡山市をホームタウンにすることを発表したデンソー女子バレーボール部の動きと、地域経済への影響を取材した。

<プロスポーツ本拠地移転>
デンソー・山崎康彦副社長:「長期的なバレーボールの発展のためにもS−V.LEAGUEに参戦し、メインホームタウンを福島県郡山市にさせていただいたと」

郡山市にホームタウンを移すのがデンソーの女子バレーボールチーム、「デンソーエアリービーズ」Vリーグ1部で前のシーズン5位、日本代表選手も輩出する強豪チームだ。ホームは愛知県だったが、2024年10月から新たに始まる「S−V.LEAGUE」の開幕に合わせ、拠点を移す。
中元南キャプテンは「(郡山に)拠点をおいて試合ができるのを嬉しく思います。選手として結果を出すことで、ホームの方々、ファンの方々に恩返しできると思っているので」と話した。

7年前に県や市と協定を結んで、「第2の本拠地」として活動してきたエアリービーズ。移転後はホームゲームの8割が福島県内で開催される計画だ。市民からは期待の声も・・「やっぱ、スポーツのまちですからね。音楽とスポーツと、けっこう盛り上がるんじゃないですか。そうなってほしいですけどね」「お互いバレーボールが好きな人たち同士で、良い刺激を分け合ったりできるんじゃないかなと思います」と好意的だ。

<ホーム移転に動き>
ホーム移転に向けて動きも出ている。チームは5月、練習用の体育館を建設する土地を借りようと郡山市に要望書を提出した。

福島テレビ・宮下真結子記者:「デンソーエアリービーズの練習用体育館は、ショッピングモールのすぐ横、街中にできる予定です」
開成山公園に隣接する市有地。体育館にはチームの事務所も入り、市民との交流や防災拠点としても活用される予定だ。

<専門家は経済効果期待>
専門家は経済効果が期待できると話す。東京商工リサーチの村越喜人さんは「観光客数の増加によっていろんな店舗の売り上げが増えることが期待されますし、広告収入も増加するのではないかな」と話す。このほか、雇用の創出や関係者の転入による税収アップなどさまざまなメリットが。
一方で、受け入れる側の体制づくりも欠かせないと指摘する。「その地域の自治体だったり、住民を巻き込んで、企業側だけじゃなくて地元側も考えていければ、相乗効果がもっと得られるのではないかなと思っております」と東京商工リサーチの村越さんは話した。

街全体で盛りあげていくことが大きな経済効果を生むと言えそうだ。
郡山市では要望書の提出を受けて早速動きがあった。
24日開かれた定例の市長会見で品川市長は体育館の建設に向け、5月30日にチームを運営するデンソーと協定を結ぶことを明らかにした。市長は、チームにとっても市民にとっても望ましい提案だと前向きな姿勢を示していた。
体育館は早ければ3年後に完成する予定で、プロスポーツの力で郡山経済の活性化が期待される。