元広島の薮田はオイシックスで7試合に登板「状態自体は凄くいい」

 元広島の薮田和樹投手は、今季からNPB2軍に新規参入したオイシックス新潟アルビレックスBCでプレーしている。イースタン・リーグが開幕して1か月半が経ち、補強期限となる7月いっぱいまではあと3か月。NPB復帰を狙う元最高勝率右腕の現在地とは――。

「状態はずっといいので、もっといい数字も残せるのかなとも思うんですけど、まだ無駄な四球や失点があるので、そこが勝ちがついてきていない原因かなと。そこを修正していければ、状態自体は凄くいいのでチャンスはあるかなと考えています」。薮田は冷静に現状を自己分析した。

 同リーグで7試合に登板して0勝2敗、防御率3.11。橋上秀樹監督は「もうひとつ、抜けたものというか目立つものがあるとほかもさらに際立つんだけどね」と話す。とはいえ、2017年には最高勝率のタイトルを獲得し、日の丸のユニホームにも袖を通した。実績十分の31歳の登板試合には、NPB球団の編成担当者が視察することもしばしば。薮田も「毎試合がアピールです」と必死に腕を振る。

 NPB球団の補強期限は7月いっぱいまで。長いようで短い戦いだ。今季からはウエスタン・リーグにハヤテも参戦し、多くの元NPB戦士たちが復帰を目指してしのぎを削る。薮田は「ハヤテとオイシックスの2チームはNPBに戻る最前列というか、そこに位置していると思うので、その中でも1番手に上がってこないといけないなというのは思っています。やはり先発で回らせてもらっている有利性は凄く感じていますし、そこに応えて、NPB復帰の第1号になりたいという思いはずっと持ち続けています」と熱い思いを口にした。

野球に取り組むストックな姿は手本に…監督証言「影響を与えていますね」

 ストイックに野球に取り組む姿は、NPBを知らない若手たちにとってもいいお手本だ。橋上監督は「多かれ少なかれ影響を与えていますね」と証言。薮田自身も「140試合戦うのは初めてという選手も多いので、分からないことは聞いてきてくれるので答えられることには答えたい」と経験を還元している。

 一方で、“2軍球団”ならではの難しさも感じている。「1軍がないので、どれだけここでよくてもNPBから引き抜いてもらう以外にはチームを抜けることはない。あと自分たちは難しさは感じていないですけど、もっと若い子は出るチャンスは少ない。メンバーが固定されている中で、1軍があれば主力が1軍に上がればチャンスは出てくると思うんですがそういうのがない。入れ替わりがないという難しさはあるのかなと思います」。

 昨季限りで戦力外となり広島を退団したが、今も試合結果は速報でチェックする。かつての仲間たちと再び戦える日に向け「タイミングは大事だと思うので、出せるものは出し続けないといけない」と薮田。目標の舞台に戻るため、右腕のアピールは続く。(町田利衣 / Rie Machida)