打者専念もドジャースに移籍し打率、本塁打のタイトル争いを繰り広げる

■レッズ 4ー1 ドジャース(日本時間27日・シンシナティ)

 いったい、どこまで進化するのか。ドジャース・大谷翔平投手は、ここまで打率.336、13本塁打の成績を残しタイトル争いを繰り広げている。昨季は日本人初の本塁打王に輝くなど異次元のパワーを見せつけたが、、今季は高打率もキープしている。メジャー解説者の新井宏昌氏にハイアベレージを残す理由を聞いた。

 今季の大谷は右肘のリハビリ途上で、打者一本でプレー。開幕当初は本塁打が出ず、自己ワーストの41打席目にして1号を放ったが、そこから一気に調子を取り戻すと、名門・ドジャースの主力として文句のつけようがない成績を残している。

 自慢の長打だけでない。ここまで両リーグトップの打率.336に達し、日本選手2人目の首位打者も狙えるペースで安打を量産している。昨季にメジャーでは初めて3割打者の仲間入りを果たしたが、新井氏は「打撃は年々、進化しているが、今は自分の打撃スタイルを確立できているように見えます。3割を打ったことで、さらに自信がついたのでしょう」と指摘する。

 エンゼルス時代は3度のMVPを獲得したマイク・トラウト外野手がラインナップに入っていたが、怪我で離脱することも多く大谷にマークが集中していた。さらに勝負を避けられることも多く、「自然と力みも出て、本来の打撃に集中できないこともあった。自分が決めないと点が入らない重圧もあったでしょう」と、際どいボール球に手を出し凡打する場面が見られたという。

 だが、新天地のドジャースではムーキー・ベッツ内野手、フレディ・フリーマン内野手らタレント揃い。打線が線となり攻撃のリズムが生まれ、自身の打撃だけに集中できる環境が整った。昨年までとは違い勝負される回数が増えたことで、シンプルに打席に向かうことができている。

「3割打者と2割打者の大きな違いはアウトの内容です。イチローにも言えることですが、試合を重ねながらレベルアップしていく。そのなかで好打者は凡打でも強い打球、芯で捉える確率が高い。アウトになっても、それを続けることができる打者は率が上がっていきます」

 ボール球に手を出さず、打つべき球を逃さない。「昨年も想像を超える成績を残しましたが、今年は打者に専念することでワンランク上の成績を残す可能性は十分にあると思います」と新井氏。メジャーリーグの常識を覆し続ける大谷なら、首位打者と本塁打王のダブル受賞も夢ではない。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)