会社員は通常、事業所が加入する健康保険組合が運営する社会保険に加入しています。そのため、転職をするときには、社会保険の切り替えが必要です。本記事では、株式会社ハッカズーク監修の「今さら聞けない『転職・退職の超基本』(朝日新聞出版)から一部抜粋・再編集し、転職時の社会保険について解説します。

会社員の社会保険

日本は国民皆保険制度のもとで、すべての人が社会保険(健康保険)または国民健康保険に加入しています。会社員は通常、事業所が加入する健康保険組合が運営する社会保険に加入しています。

社会保険には医療費の負担を軽減する健康保険のほかに基礎年金に上乗せされる厚生年金保険、介護が必要な人を支える介護保険、失業した際の生活を支える雇用保険、業務上の傷病に対して支給される労災保険が含まれます。

扶養家族がいる場合は、家族も健康保険に加入できます。毎月の保険料は加入者と会社が折半して負担しています。

社会保険料はいくら払っている?

社会保険料は労働者と会社で負担額が異なります。それぞれの保険料は下記の計算方法で算出されます。

健康保険

標準報酬月額×健康保険料率÷2

例:協会けんぽ(東京都・令和6年3月〜)、介護保険第2号被保険者に該当しないAさんの場合

標準報酬月額200,000(円)× 健康保険料率9.98(%) ÷ 2 = 9,980(円)

介護保険(40歳以上65歳未満)

標準報酬月額×介護保険料率÷2

例:42歳・会社員Bさんの場合(令和6年3月〜)

標準報酬月額300,000(円)× 介護保険料率1.60(%) ÷ 2 = 2,400(円)

厚生年金保険

標準報酬月額×18.3%÷2

例:会社員Cさんの場合

標準報酬月額300,000(円)× 厚生年金保険料率18.3(%) ÷ 2 = 27,450(円)

雇用保険

支払われた賃金総額×0.6〜0.7%(※労働者負担)

例:会社員Dさんの場合

給与20万円+残業代3万円230,000(円)× 雇用保険料率0.6% = 1,380(円)

労災保険 

全額会社負担

標準報酬月額とは

実際に支払われた給与額ではなく、保険料を簡単に算出するために区切りのよい幅で区分された等級が設定されている。

転職したら…保険料の支払いはどのタイミングで切り替わる?

退職時点で転職先が決まっている場合は、社会保険の切り替えが必要になります。現在加入している社会保険の資格を喪失するのは退職日の翌日で、保険料は前月の分が給与から差し引かれます。また、日割りはなく月額での支払いとなります。

ケース1:月の半ばで退職した場合(退職日3/15)

2月まで退職前の社会保険の資格者となり、2月分の保険料負担分が3月の給与から控除される。

ケース2:月の末日で退職した場合(退職日3/31)

3月まで退職前の社会保険の資格者となり、2月分と3月分の保険料負担分が3月の給与から控除される。

ケース3:月の末日前に退職した場合(退職日3/30)

2月まで退職前の社会保険の資格者となり、2月分の保険料負担分が3月の給与から控除される。

※退職のタイミングによって切り替え月が変わることに注意しましょう。転職先が決まっていない場合は、自分で国民健康保険などの加入手続きが必要になります。

株式会社ハッカズーク

著者:株式会社ハッカズーク