2月末、任天堂はNintendo Switchの非公式エミュレーター「Yuzu」を正式に提訴しました。それから約1週間ほどで、開発元であるTropic Hazeが任天堂と和解し、Yuzuの公開・開発を中止するとともに、240万ドル(約3億6000万円※)の和解金を支払うことに合意しました。

※1ドル=約150円で換算(2024年3月6日現在)

↑海賊版には断固たる態度で臨む

 

これにより、Tropic Hazeは「Yuzu本体またはYuzuのソースコードや機能の一般への提供、配布、マーケティング、広告、宣伝、販売、テスト、ホスティング、クローン、配布、その他の方法での取引」を停止することになりました。ウェブサイトと関連サービスも閉鎖となります。

 

任天堂は、Yuzuそのものが著作権を侵害したと主張したわけではありません。が、このエミュレータは不正に入手した暗号化キーが使われる場合もあり、かつ開発者が自らユーザーに対して不正キーの入手を助けるサイトを紹介していました。

 

そうした事実をもとに、任天堂は「大規模な違法コピー」を助長したとして提訴したわけです。具体的には、発売前だった『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』の海賊版が最大100万本も出回ったと主張しています。

 

任天堂がエミュレーター開発者を裁判に訴えたのは、今回が初めてのことではありません。例えば、2018年、LoveRETROとLoveROMという海賊版ROMサイトに対して、任天堂に1220万ドルを支払う判決が下されました。また、数年前にも海賊版ROMサイトRomUniverseが同社の著作権と商標を侵害したとして、210万ドルの支払いを命じられています。

 

いずれも賠償金・和解金は巨額にも思えますが、「海賊版ROMがはびこることを助けるのは割に合わない」という前例を作ることが、ゲームソフトの著作権を保護することにつながりそうです。

 

Source: Scribd(PDF) 
via: Wccftech