にぎわいを増やそうと、飛騨市図書館は6月から、「おしゃべりOK」の利用案内を明文化する。静かに利用することが正しいと思われがちな慣習を払拭し、誰にも使いやすい場所を目指す。新型コロナ禍を経て足が遠のいた来館者に再び図書館を利用してもらうよう促す。

 同図書館によると、明文化はしてはいないものの、本を読む人を気遣い、静かに利用するものという考えが定着していた。今も、「君の名は。」の外国人ファン向けに図書館を静かに利用するよう案内はしているものの、日本人向けには特にしていないという。

 おしゃべりOKとすることで、静かに利用するものというイメージを取り払いたい考え。勉強や読書向けの部屋を設け、目的別に区別する。飲み物の持ち込みも、従来の2階のみの利用から全フロアOKへと切り替える。テーブル席も設け、複数人で勉強ができる環境を整え、学生の利用増も図りたい考え。

 「おしゃべりができる図書館」として2022年にオープンした石川県立図書館の運用を参考にした。子育て世帯や学生ら、誰もが入りやすい施設へとイメージの変化を図る。

 新型コロナ禍前は年間10万人超だった来館者数が戻りきっていないことも背景にある。22年度で7万6220人、23年度で8万3177人。同図書館は、生活様式の変化で足が遠のいた利用者は少なくないと分析しており、再び利用するよう促す。

 さらに7月から1年ほどかけて運用の見直しを続ける。ビジネス利用もできるパーソナルスペースの設置、ごろ寝読書ができる空間の整備を予定している。担当者は「本が好きな人に限らず、いろんな発想を持った人が集える場所へと変化させたい」と、運用改革の意図を説明する。