これまでにも少し触れたことがあるが、どんどん作動が遅くなるワイパーモーターがついに停止。ワイパーアームを立てて無負荷にすれば動くものの、ガラスは拭いてくれない。車検もこのままでは危ういので、もう新品は出ないワイパーモーター を分解して自力リビルドを敢行。TV系よりも元々作動が遅いので、完成してみても「あーこんなものなのかー」なのだが、ちゃんと雨の中視界が確保できたのは嬉しいぞ。
■ Photo&Text Masahiro Kan
モーターは起動時に大きな電流が流れる!まずはその仕組みのおさらいから
引き抜いたローターの整流子部分をよく観察すると、キレイにブラシが当たっているようで、全体にはカーボン色になっている。
しかし、いくつか回転時にできた傷があり、カーボンではなく銅の金属面にスジ状の傷があったり、金属面が露出している部分が発見できた。
この程度ならモーターとして支障はないはずだが、傷をなるべく消して、整流子面を平滑にしておくことで通電効果を高めることにした。
モーターの回転する仕組みは外側にN極とS極の永久磁石があり、ローター側の鉄芯に巻かれたコイルにブラシから直流を通電すると、磁力が発生する。その磁力が外側の永久磁石と引き・反発して回転力が生まれるのだ。
整流子にはいくつものコイルが巻かれて、次々と磁力を発生するので、回転が続くことになる。
この初めの通電時が回転起動になるため、DCモーターはゼロ回転で最大トルクになる。
つまり通電した瞬間に大きな電力を必要とするわけなのだ。要するに起動時が肝心ということ。
大電流が流れる部分の接触抵抗を減らすのがモーターにとって最良の環境になるわけだ。
整流子はよく観察すると周方向にキズがあり、一部はかなり深い傷(一番左側の銅が露出している部分)どこまで研磨できるか……。
著者:内外出版/オートメカニック