『DRADITION 2024 DRAGON EMPIRE PHASE-2』後楽園ホール(2024年5月24日)
○永田裕志&藤波辰爾&LEONAvs宮原健斗&関本大介&綾部蓮×

 宮原にいなされて雪辱に失敗したLEONAは悔しさ爆発。試合後にしつこく乱闘を仕掛けると、「宮原健斗の背中を絶対逃がさない」と宣言した。一方、宮原は「3度目があるかないかはお前次第だ。でも、ねえだろうな」とLEONAを斬り捨てたものの、「昭和の殺伐とした時代を潜り抜けてきた闘争心というものを学ばしてもらった」と藤波との対戦を満喫した。

 藤波と全日本・宮原は今年3月の後楽園大会で対戦予定だったが、藤波がインフルエンザのため欠場に。改めて今大会で仕切り直しの6人タッグマッチが組まれた。両者は昨年8月のネットショッピングプロレス新宿大会以来、約9ヵ月ぶりの対決。3月の後楽園大会では宮原が藤波不在の中で奮闘するLEONAに完勝。LEONAにとっては雪辱戦となった。

 圧倒的な声援を浴びて入場した宮原を第2試合に続いてダブルヘッダーとなるLEONAは強烈に意識。自ら先発を買って出ると、自分を無視しようとする宮原に強烈なエルボーを連打。場外戦になっても圧倒してみせた。

 乱戦は一旦落ち着いたものの、LEONAが再登場すると、控えの宮原にまたも仕掛ける。だが、待っていたのは倍返し。宮原は場外で何発も頭突きをねじ込んで返り討ちにした。関本や綾部も追撃すると、藤波を挑発したり、LEONAへの歓声を煽ったりと余裕を見せ、見せつけるようにドラゴンスリーパーまで披露した。その後もローンバトルが続き、宮原のフロントハイキックで蹴り倒されたLEONAだったが、客席からは「LEONA」コールが発生。意地を見せたいLEONAはしつこくダブルアームスープレックスを狙ってついに投げきり、藤波にタッチを渡した。

 宮原はショルダータックルで藤波を吹き飛ばすと、観客を挑発してブーイングを浴びる。さらに、フロントハイキックを放つが、完璧に読んだ藤波はドラゴンスクリューを決めた。いい場面でタッチをもらったLEONAはエルボー連打で続く。宮原の反撃を受けても下がらず、ドラゴンスクリューから足4の字固めに持ち込んで絞めに絞めた。しのがれてもローキックやエルボー、ビンタを浴びせたものの、余力を残す宮原はフロントハイキックでキッチリと挽回する。

 その後、永田が奮闘。宮原組の集中攻撃を受けたものの、綾部のデスルーレット狙いを防いでナガタロックIIに捕獲。藤波が宮原を、LEONAが関本をドラゴンスリーパーで分断する。綾部はロープに逃れると、藤波に見せつけるようにLEONAにドラゴンスープレックスの構え。宮原が「やめとけ」と叫んだものの、綾部は果敢に狙うが、藤波がカットイン。ドラゴンスクリューで鎮圧すると、永田が一気呵成に猛攻。延髄斬りからのバックドロップホールドで綾部を沈めた。

 試合後、宮原とLEONAが場外乱闘。ブチ切れた宮原は会場を仕切る鉄板に投げつけて制裁し、怒ってレフェリーのTシャツを引っぺがす。LEONAが何度も掴みかかろうとするも、関本や永田、セコンドが割って入ると、宮原はLEONAを挑発しながらリングをあとにした。

 大会のエンディングで藤波から「自分の力を思う存分出しきって、これからシングルに持ち込めるかどうか」とゲキを受けたLEONAは、「相手は実績もキャリアも全部上かもしれない。でも、そんな者同士でもあのリングの中では戦っていいんでしょ。俺はそう教わってきた」とアピールし、「あの背中、宮原健斗の背中を絶対逃がさない」と宣言した。

 一方、宮原は「あいつ勘違いしてるんだよ。あいつを相手にして上げたのは俺のサービスだからな。1回限りだ。2度目はねえと思ってよ、あいつはしつこくきたな。3度目があるかないかはお前次第だ。でも、ねえだろうな。今のままじゃ」とLEONAをバッサリ。反対に「そんなことはさておき、今日大事だったのは藤波辰爾さんと触れ合うことだ。体を触った瞬間にどんな感じ方をするのか。俺はそれを今日感じに来たんだ。最初に手を合わせた瞬間に、あの人が潜ってきた、あの昭和の殺伐とした時代を潜り抜けてきた闘争心というものを俺は体中から学ばしてもらった」と藤波との対戦から感じる部分が多かった様子。「5月29日、さあ、安齋勇馬。今、俺はレジェンドに触れ、温故知新も俺の中に入ったから強えぞ」と全日本5・29後楽園大会で控える三冠戦に向けて弾みを付けた。

 藤波は「よくぞあそこまで宮原君がLEONAを相手にしてくれたというか。彼がまだLEONAを受け流すというか。それはLEONAもわかっているでしょうし、LEONAがいつ宮原を本気にさせるか」とLEONAの課題を指摘しつつ、「ああいう大きい相手でもとにかく向かっていく気持ちは大事。次は楽しみ」と期待も示し、「その中で何を彼に伝えられるか。猪木さんから習った、猪木さんから学んだことを彼に伝授していきたい」とバックアップも約束した。

 そして、「昔、猪木さんも『とかく口数の多い選手は…』って言ってましたけど、彼はそれだけじゃないものを持ってますよ」と宮原を高く評価し、「全盛期の人間に僕はどれだけついていくか。すべていろんな部分で受けきってみようという覚悟で上がったんだけど、そういう意味では2つ3つしかなかったんで。次の機会では彼の持っているものを受けてみようかなという気がします」と藤波自身も再戦に意欲を見せていた。

【試合後の永田&LEONA】

※永田がコメントスペースに現れる

――綾部選手と戦った感想は?

▼永田「見た目がオカダみたいだなって。コスチュームがオカダによく似てるから。あとは、大きい体を少しずつ活かしているんじゃないですかね。全日本プロレスといういい環境、大きい選手がいっぱいいる環境にいるんで、彼はうちでデビューするより、全日本プロレスにいたほうがよかったですね。と思います。(ここでLEONAが合流すると)今日はLEONAの気持ち、凄くよかったです」

▼LEONA「永田さん、ありがとうございました」

▼永田「どんどん若いうちに行っていいんだよ。後先考えずにガンガンかましに行けばいいんだよ。とにかく足らないところを言ったらいろいろあるかもしれないけど、気持ちだけは今日伝わりましたね。見ててゲキを飛ばしたくなるような、いい意味で。目が死んでなかったんでね。そこはやっぱりファンの声援とかで元気にいくらでもなるんで。いいものを凄く持っていると思います。だから、今日の気持ちを忘れず、これから精進してくれれば。僕もいい歳なんで、そういうようなアドバイスを言えるような立場になってきましたけどね。今さらのように言ってますけど。でも、この気持ちだけはしっかりお客様に見せて。あとは本人の努力次第だと思います。以上です」

※永田が去っていくと

▼LEONA「チームは勝ったかもしれないけど、自分の手で勝ってない。だから、あんまり喋りたくない気持ち。ただただ、ファイトはもちろんだけど、声に出さないと伝わらないこともきっとあるから。負けたくない。負けたくないんだよ。憎しみとか、そんなんじゃなくて、悔しくて、相手に勝ちたい。そしたら、そんな相手でも憎くなってくるぐらい、背中を追いかけたくなるんだよ。相手は実績もキャリアも全部上かもしれない。でも、そんな者同士でもこのプロレスは、あのリングの中では戦っていいんでしょ。俺はそう教わってきた。だから、声に出して、ファイトに出して立ち向かわなきゃいけない。この痛み、この悔しさ、絶対に忘れない。そして、あの背中、宮原健斗の背中を絶対に逃がさない。クソ!」


【試合後の藤波】

▼藤波「久々で足が思うように動きません。気ばっかり焦ってて。あれだけ違う、今までにない力というか、成長というか。LEONAのほうが向かっていくというね。これから厳しさというかな。そういう部分ではよくぞあそこまで宮原君がLEONAを相手にしてくれたというか。余裕を持ってね、彼がまだLEONAを受け流すというか。それはLEONAもわかっているでしょうし、LEONAがいつ宮原を本気にさせるかというね。最後みたいに流されずに向かっていけば。ああいう大きい相手でもとにかく向かっていく気持ちは大事ですよ。これを大事にしてね。前回の試合も伝え聞いてはいたけどね。それを今日、僕も目の当たりにして、次は楽しみだなっていう。彼自身、苛立ちとか、周りのレスラーを見ているでしょうし。僕はその中で何を彼に伝えられるか。猪木さんから習った、猪木さんから学んだことを彼に伝授していきたいかなって思います。今日はいいものを見たような気がします」

――藤波選手ご自身が宮原選手と対戦した印象は?

▼藤波「彼も僕に集中できないというか、LEONAが宮原に向いてるから、どうしてもそっちに気が散って。本来はもうちょっと僕とぶつかって。全盛期の人間に僕自身はどこまでついていくかっていうか。僕はすべていろんな部分を受けきってみようという覚悟で上がったんだけどね。そういう意味では2つ3つしかなかったんで。次の機会では彼の持っているものを受けてみようかなという気がします。でも、凄いいい選手だね。噂に違わぬあれだけの実力を持っている選手というか。彼も近々に価値を上げているみたいなんで、そういう意味ではダテじゃないという。昔、猪木さんも『とかく口数の多い選手は…』ってよく言ってましたけど、彼はそれだけじゃないものを持ってますよね」

【宮原の話】「おい、あの藤波さんの息子。名前なんていったっけな? あいつ、しつこいな。試合終わってんだろ、もう。もう続きはないんだから。もういいだろ。あいつ勘違いしてるんだよ。あいつを相手にしてあげたのは俺のサービスだからな。1回限りだ。2度目はねえと思ってよ、あいつしつこく来たな。3度目があるかないかはお前次第だ。ただ、ねえだろうな。今のままじゃ。そんなことはさておき、今日大事だったのは藤波辰爾さんと触れ合うことだ。体を触った瞬間にどんな感じ方をするのか。俺はそれを今日感じに来たんだ。最初に手を合わせた瞬間に、あの人が潜ってきた、あの昭和の殺伐とした時代を潜り抜けてきた闘争心というものを俺は体中から学ばしてもらった。今日来た理由はそれだからな。藤波辰爾さんと触れることによって、何か感じることがある。今日、俺は触れることができて、体で感じれたからね。5月29日、さあ、安齋勇馬。今、俺はレジェンドに触れ、温故知新も俺の中に入ったから強えぞ。お前みたいな顔だけのスーパールーキーに三冠ベルトは重いな。5月29日、俺が三冠ベルトを獲って、全日本プロレスも次のステージに行こうじゃねえか」