50代以上の女性に多い手指トラブル。食事や運動など日常のちょっとした工夫で、負担を減らすことができます。手の痛みなのにどうしてウォーキングが効くの?「手の外科」の専門医・池口良輔先生が指導している“生活習慣8つのルール” を解説します。

手指への負担を減らそう!“8つ”の生活習慣

アイコンの見方

それぞれの生活習慣の説明最後にあるアイコン文字は、50代以上の女性に多い手指トラブルの「ヘバーデン結節」「ブシャール結節」「手根管症候群」のうち、どの病気に特に効果的かを示しています。一つ一つの病気の特徴については第1回目の記事をご覧ください。  

<へ>:へバーデン結節  
<ブ>:ブシャール結節 
<手>:手根管症候群

【手指の負担を軽減する習慣1】定期的に運動する  

   ウオーキングなどの適度な運動を欠かさないようにしましょう。「手も含めた全身の血流がよくなり、手指の腫れなどが改善に向かいます」と池口さん。<ヘ><ブ><手>

【手指の負担を軽減する習慣2】大豆製品を積極的にとる

大豆には女性ホルモンに似た作用があるので、豆腐や納豆などは積極的にとりましょう。また軽度の痛みには大豆由来のエクオールという成分が効果的との報告も。サプリメントも市販されています。
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【手指の負担を軽減する習慣3】指先だけでなく手のひら全体の力で家事を行う

タオルや雑巾は指の第1関節を曲げず、手のひら全体を使って絞るのがコツ

 タオルを絞る、包丁を使う、ペットボトルのふたを開ける。「そんなときは手のひら全体を使い、指先に力がかからないようにするのがコツ」と池口さん。  <ヘ><ブ><手>

【手指の負担を軽減する習慣4】手指を冷やさない

寒いと症状が悪化しがち。「お風呂などでしっかり手指を温めて。血流がよくなると指エクサの効果も上がります」(池口さん)。外出時は手袋を忘れずに。<ヘ><ブ><手>

【手指の負担を軽減する習慣5】ペンを使うときはグリップを太く 

筆記具はグリップ(持ち手)が太い方が指先への負担が減ります。ペンに布や薄いスポンジを巻いたり、市販のグリップ用自助具を活用したりするのも手です。<ヘ><ブ>

【手指の負担を軽減する習慣6】パソコンを使うときは折りたたんだタオルをはさむ

手首が反った状態でパソコンを操作すると、手根管に大きな負担が。キーボードの手前に折りたたんだタオルを敷くなどして、手首がまっすぐになるよう工夫しましょう。<手>

【手指の負担を軽減する習慣7】サポーターで手首を守る

サポーターで手首を固定し、負担を軽くしましょう。「あまり締め付け過ぎないものを選んでください。日中だけでなく、夜寝るときにも着けるといいですね」(池口さん)<手>

【手指の負担を軽減する習慣8】痛むところはテーピングで固定を

痛む指にはテーピングをして、関節を固定・保護しましょう。痛みも和らぎます。市販の指用テープもあります。普通の絆創膏を使ってもOK。 <ヘ><ブ>

自分でできる手指トラブル対策を施していても、症状が改善しないようであれば悩まず受診を。最終回では受診の目安や病院での治療法について紹介します。

教えてくれたのは……池口良輔(いけぐち・りょうすけ)さん

京都大学医学部附属病院リハビリテーション科准教授。1993年、京都大学医学部卒業。医学博士。静岡県立総合病院整形外科などを経て、2014年から現職。日本手外科学会認定専門医。共著に『手指の痛み・しびれ・はれ・変形 自力でよくなる!名医が教える最新1分体操大全』(文響社刊)。 

取材・文=佐田節子 イラストレーション=コウゼンアヤコ 構成=大矢詠美(ハルメク編集部)

※この記事は雑誌「ハルメク」2021年12月号を再編集、掲載しています。