【一生見える目をつくる】#9

 レーシック手術の病院選びのポイントのひとつとして覚えておいていただきたいのは、「その病院は事前の検査をしっかりと行ってくれますか」ということ。検査で来院したその日に、「手術も今日してしまいましょう」と言うクリニックもあると聞きます。しかし、レーシック手術では最初の検査から一定期間、時間を空ける必要があるものなのです。

 私のクリニックでは必ず2回検査を行います。レーシック手術は、角膜の厚みが薄すぎたり、角膜の形状に歪みがあったりすると、適応となりません。1回目の検査では、レーシック手術が適応かどうかを、しっかり調べます。

 検査の所要時間は2時間から2時間半が目安。レーシック手術の内容や手術前後の注意事項についても詳しく説明し、適応検査でレーシック手術が可能とわかったら、手術日の予約をしていただきます。適応検査時には瞳孔を目薬で開く眼底検査も行うので、検査後の運転は控えてくださるように患者さんにはお願いしています。

 2回目の検査は、手術日の1週間から2日前に行います。所要時間は1時間程度。この日は、その患者さんに最適な治療プログラムを作るための、目の中の「光のゆらぎ」を測定する検査などを含め、希望する見え方を決定するための検査をしていきます。

 これまでどんな見え方で過ごしてきたのか、レーシックの手術の後はどんな見え方をしたいか、老眼があるならそれをどうするか……。医師と患者さんがじっくりと話をする。この過程こそがレーシック手術の中で非常に大切な時間なのです。

 コンタクトレンズを使っている方は、2回目の検査の前に、コンタクトレンズの装用中止期間があります。ソフトコンタクトレンズは最終検査の3日以上前から、乱視用ソフトコンタクトレンズは最終検査の1週間以上前から、ハードコンタクトレンズは最終検査の4週間以上前から中止となります。

 コンタクトレンズを使用していると、角膜の形が変わっている可能性がある。そのため、最終検査の前に角膜をいったんその人が持つ元の状態に戻す必要があります。そうして初めて正しいデータが取れるのです。

 検査とカウンセリングの重要性についてお分かりいただけたでしょうか。これをしっかりと行わない病院でのレーシック手術はやめておいた方がいいと私は思います。

 なお、レーシック手術は目が成長過程である18歳未満のお子さまや妊娠中や授乳中の方は受けられません。また、網膜剥離、白内障、緑内障、角膜炎、結膜炎など目に疾患をお持ちの方も受けることができません。

 裸眼での生活を可能にするレーシック手術は素晴らしい技術ですが、キチンとした検査に基づいて行われなければ良い結果は得られません。検査は面倒で大変ですが、そこは「良い視力を得るために」と思って頑張っていただきたいと思います。

(荒井宏幸/クイーンズ・アイ・クリニック院長)