赤ちゃん返りとは、弟や妹が生まれたことなどをきっかけに、子どもが赤ちゃんのような態度を取ること。どうやら人間だけでなく、いぬにも起こるようです。おうちに小さな子どもたちが来たところ、赤ちゃん返りしてしまったいぬがX(ツイッター)で話題になっています。当時の様子について、飼い主さんに詳しいお話を伺いました。

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赤ちゃん返りならぬ、子いぬ返りしたいぬ

「孫2人を2日間預かったらいぬが赤ちゃん返りしました。今度はこの赤ちゃんの面倒を見ないと」

 そんなコメントが添えられた写真には、毛布の上でごろんと寝そべるいぬが写っています。ちょっと寂しげな瞳で、遠くを見つめる姿はとてもキュート。すっかり、子いぬ時代に戻ってしまったかのようです。

 この写真がXで公開されると、8000件以上の“いいね”が集まりました。リプライ(返信)には「赤ちゃん返りするなんて……かわいすぎです」「甘えん坊なんだね」「2日間我慢していたのか 偉いしかわいい〜」「あらあら……バブちゃん、よしよし」など、さまざまな声が寄せられています。

建築現場で命を救われたげんたくん

 話題になったのは、元保護犬の男の子で推定年齢13歳の「げんた」くんです。今から12年前、埼玉県内の建築現場のそばで、リードにつながれた状態で遺棄されているところを作業員が発見。当初は吠えることもできないくらい衰弱していましたが、作業員さんたちにかわいがられ、所長さんが「しばらくは現場で世話をしよう」と言って保護されました。

 かっこいい名前は、作業員さんたちに付けてもらいました。散歩に連れていってもらったり、ごはんをもらったりして、げんたくんはすくすくと成長。しかし、それから1年後、建築現場の作業が終わり、げんたくんは飼い主さん家族にお迎えされることになりました。

 げんたくんは“ひとりっ子”として成長したためか、ほかのいぬと接することが苦手なのだとか。本当は一緒に遊びたいのに、興奮して吠えてしまい、逃げられてしまうそうです。また、食欲がとても旺盛で、食べ物があれば誰にでも従順になってしまう、かわいらしい一面もあります。

「げんたは、とにかくごはんのために生きているという感じです。食べ物を持っていれば、泥棒であっても従順になりそう。散歩は、ごはんが欲しくて早々に終了。大好物は焼き芋とリンゴですが、食べられるものならなんでも喜びます」

不眠不休で2日を過ごしたげんたくんと飼い主さん

 こうして“ひとりっ子”として、愛情を一身に受けてきたげんたくんだからこそ、飼い主さんのお孫さんたちがおうちに来て、赤ちゃん返りしてしまったのかもしれませんね。しかも、今回預かったのにはのっぴきならない事情があったそうです。

 それは飼い主さんの娘さんの体調不良。ゆっくり休んでもらうため、4歳と2歳のお孫さんたちを一時的に預かることになりました。

 ところが、そのときは2歳のお孫さんも体調が回復したばかり。環境が変わった不安もあり、夜泣きがひどく、翌日の昼まで泣いて過ごしたといいます。

「げんたは私が部屋を移動すると、いつもあとを追ってきます。このときも、私が動くたびに一緒についてきて……。げんたも私も、夜はまったく眠れず、翌日の昼も眠ることができませんでした。孫たちのお風呂やごはんのために奔走し、ようやく帰宅。すると、げんたはいつもソファの上でくつろぐのですが、めずらしく私に寄りかかってきました」

 いつもはソファの上から家族の様子をうかがい、何を食べているか、何かもらえないかチェックしているげんたくん。しかし、この日は、すっかり赤ちゃん返りしてしまったようです。

「私にべったりで、『お腹を撫でてほしい』『ずっと触っていてほしい』『目を見つめてほしい』とアピール。でも、赤ちゃん返りはその日だけで終わりました」

 げんたくんにとって、お孫さんと過ごす時間はとても刺激的だったようですね。

「げんたは基本、孫には無関心ですが、おやつを食べているときだけ、仲の良い友達のようになります。私としては、寝ている2歳の孫にげんたが寄り添って眠る光景を見たいのですが、それは叶いません。ただただ、私のストーカー犬です」

 飼い主さんのことが大好きなげんたくん。これからもたくさん甘えて、幸せな日々をすごしてほしいですね。

○取材協力:もふもふげんた(@gentaronsan)さん

Hint-Pot編集部