宝塚歌劇団の舞台に立つタカラジェンヌを養成する兵庫県宝塚市の宝塚音楽学校(中西達也校長)で19日、第112期生の入学式が開かれた。

 今年の受験者数は480人で競争倍率は12・0倍と、ともに21世紀ワーストの数字だったが、変わらぬ難関を突破し、晴れやかな笑顔で、憧れたグレーの制服に身を包んだ。40人の出身地は東京13人が最多で16都道府県にわたる。

 入学式は2020〜22年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため校歌は事前に収録した音源を用い、上級生が一人一人の制服に校章をつける恒例のセレモニーも自粛したが、今年は昨年に続いて、ともに実施された。

 2年後に入団する歌劇団は昨年9月の宙組娘役転落死問題以来、今も揺れている。中西校長は「コロナの影響や昨年の歌劇団の出来事など、苦労や不安な思いもあったと思いますが、そんな中でも憧れの舞台に立ちたいという思いを持ち、努力された。心よりお喜び申し上げます」とスピーチ。「初心を忘れることなく謙虚に精進してください」と激励した。

 40人は今後2年間、歌、芝居、ダンス、日本舞踊などの基礎を学び、26年の初舞台を目指す。

 新入生総代で答辞を述べた首席入学の今井咲さん=千葉県出身=は身長167センチで男役志望。式典終了後は「ずっと憧れていた学校の講堂での入学式。とてもうれしいです。日々精進を忘れずに頑張っていきたい。雪組の朝美絢(あさみ・じゅん)さんのような、凛(りん)として華やかな男役さんになりたい」と笑顔で語った。同期とは5日ほど前に初顔合わせしたばかりだが「とても元気で、おしゃべり好き。笑顔の絶えない学年だと思います」と説明した。

 同じく男役志望の森永涼さん=東京都出身=は「憧れの制服を着て(入学の)実感が湧きました」。仲田毬乃さん=京都府出身=、田島妃葉(ひよう)さん=兵庫県出身=はともに娘役志望。「身が引き締まる思い」(仲田さん)、「学校生活が楽しみで仕方がない」と、それぞれ希望を抱いていた。