約5万人収容のマルチスタジアムを中心とした築地市場跡地(中央区、約19ヘクタール)の再開発「築地地区まちづくり事業」の事業者決定に関する記者会見が1日、都内で行われ、事業予定者の読売新聞グループ本社・山口寿一社長(67)らが出席した。

 プロ野球・巨人のオーナーも務める山口社長は、巨人の本拠地移転に関する質問に「巨人軍の本拠地移転を前提に検討してきたものではございません」と回答。「海外で言えばO2(ロンドン)や、マディソン・スクエア(ニューヨーク)のような歴史的、国際的な施設を目指したい」と意欲を示した。

 「巨人の本拠地として『ぜひ』という声があがった場合、検討の俎上(そじょう)に乗る可能性はあるか」という質問には、「プロスポーツを持つ読売としては、魅力あるスタジアムを使ってみたい気持ちはあります。ただし、移転を前提として計画してきたものではないし、その予定で進んでいるわけではない。プロ野球球団の移転はなかなか大仕事で、相当の調整が必要となる。読売だけで決められるものではない」と慎重な姿勢を崩さなかった。

 一方で「野球に関して、国際試合をこの新しいスタジアムで開催するのは考えられる。よき舞台になるのかなと」とし、「メジャーのみならず韓国、台湾などアジアも有力な野球選手がそろっているエリアですので、そういったことを想定したものは、新しく組み立てる可能性がある」と、アジアの新たな国際大会創設に意欲を示した。

 また、事業予定者を代表する三井不動産・植田俊社長(63)は、新スタジアムの影響で今後が注目される東京ドームについて「築36年たっていますが、まだまだ活用していくことを考えています」と発言。「東京ドームはテイラー・スウィフトら世界的スターのコンサートも行われており、スポーツエンターテインメントの聖地になっている。新スタジアムができると聖地が2つできて、競争力強化につながる」と2大聖地化による相乗効果に期待を寄せた。

 ◆O2アリーナ 2007年に開業した英ロンドンにある多目的アリーナ。最大2万人収容。主にスポーツ、コンサートなどに使用され、12年ロンドン五輪では体操、バスケットボール決勝などが行われた。07年のレッド・ツェッペリン再結成ライブ、23年の約12億円のチケット収入を記録した格闘技イベントUFC開催などでも話題に。

 ◆マディソン・スクエア・ガーデン 米ニューヨーク・マンハッタンにある複合アリーナ。略称MSG。約2万人収容のスポーツアリーナ、約5000人を収容する劇場型会場などから構成される。1874年オープン、68年に現在の場所へ移転。NBAのニックスが本拠地とするほか、ボクシングやプロレス興行も多く「格闘技の殿堂」と言われている。