J1北海道コンサドーレ札幌MF宮沢裕樹(34)が、今季初めてとなる3バック中央で勝ち点3をつかみ取る。札幌は27日、ホームで湘南と対戦する。開幕から同位置を務めていたDF岡村大八が左わき腹の肉離れで欠場するため、宮沢がDFリーダーを託された。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督(66)就任の2018年以降、本職のボランチと併用されてきた位置だけに不安はない。持ち味の読みと周囲を動かす声で、ゴールを死守する。

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 話し、動かし、読みを働かせ、札幌・宮沢が重要な戦いを制しにいく。同じ降格圏の18位湘南との直接対決。勝てば最下位を脱し、他チームの結果次第では17位以上の残留圏へ浮上する可能性もある。任された3バック中央を務めるのは今季初めてだが「長くやっていた位置。特別気負うことはない」と平常心を強調。「勝ち点3を取れれば上に行けるし、取れなければ現状を変えるのは難しくなる。しっかり勝ち点3を取れるようにベストを尽くすだけ」。3戦ぶりの白星だけを狙いに定めた。

 ペトロヴィッチ監督が就任した18年から、ボランチとともに3バック中央を務めてきた。22年の中盤から同位置の主軸は1対1の強さを生かす岡村になったが、宮沢には違う武器がある。「(岡村大)八は対人に強いタイプだけど、僕はうまく味方を使って、相手が出てくるところを限定していく。そのためにはしゃべることも大事。後は先に予測して動くこと」。自身の特長をそう語る通り、周囲を動かし、パスコースを絞って、危機を未然に防いできた。湘南戦も強みを発揮し、相手の攻撃を封じていく。

 今季唯一の勝利となる6日のG大阪戦では、2季ぶりのゴールで1―0の勝利へ導いたが「まずは自分の役割を全うすること」と今回は守備重視の姿勢で臨む。ボランチから位置が下がったことだけが理由ではない。「チームとして徐々に上向いているのは間違いない。あとは攻撃陣が乗ってくれば。いい配球ができて気持ち良くプレーしてくれれば、得点できる選手はたくさんいるから」。自身の活躍より今後にもつながる白星へ。まだ複数得点のない攻撃の活性化も頭に入れ、宮沢がピッチに立つ。(砂田 秀人)