J2いわきFCの大倉智社長は4日にいわきFCパークで会見を開き、昨年度から進めてきた新スタジアム検討委員会「IWAKI GROWING UP PROJECT(IGUP)」の成果報告を行った。

 いわきは昨年度、スポーツ庁の「スタジアム・アリーナ改革推進事業」の実行団体に採択され、市や商工会議所と協力し、ホームスタジアム構想の検討を進めてきた。「分科会1」と称した企画経営者や教育関係者らで構成されたメンバーでの検討会に加え、子どもや若者の意見を聞くユースフォーラムを開くなどして意見を集約。「成長するラボ型スタジアム」を大きなコンセプトとして、「町の構造を変えるスタジアム」「常に時代の先をゆく可変的スタジアム」など4つの将来像を掲げることでビジョンがまとまったと発表した。

 大倉社長は今年度も「スタジアム・アリーナ改革推進事業」の契約予定者として内定を受けたと明かし、「昨年度の活動でビジョンが固まった。その上で、今度は場所や経営体制などを中心に進めていく」と今年度の活動ではより具体的な展望を固めていく。現時点で具体的な候補地や、予算などは決まっていないが「民設民営を基本に考えて、所有権を僕らが持って頑張りますというスタンスです」とチームがスタジアムを所有する方向性も示した。

 さらに、この一年で作り上げてきた展望を周知するために分科会1の報告書として「ビジョンブック」の作成と配布を検討中とも明かした。簡易版とハード版の2種類を予定しており、簡易版は10ページ以下で簡単に新スタジアムについてを記したもの、ハード版はいわきFCの歴史も含め100ページ程度の本をイメージ。「自分たちの考えを、いわきFCを知らない、興味がない方にも知ってほしい」と配布や販売などで機運醸成を狙う。

 いわきは2023年にJ2に昇格したが、ホームのハワイアンズいわきスタジアムは席数や収容人数などJ2基準を当時の要件では満たしておらず、「例外適用」でJ2ライセンスを取得した。例外規定の適用期間は最大で8年間で、25年6月までに基準を満たすスタジアムの整備計画を提出し、27年6月までに計画に基づき着工する必要がある。これにより別の例外規定が適用され、スタジアムの完成は31年シーズンの開幕戦まで延長できることになっている。