東地区のレバンガ北海道は、A東京との今季最終戦に臨み、78―85で敗れた。最終順位は同地区8チーム中7位だった。今季限りでの引退を発表しているチーム最年長のSG/SF桜井良太(41)は、スタメン出場。3点シュートを決めるなど1アシスト3得点で現役最後の試合を終えた。三重・四日市工時代、桜井を指導した同校バスケットボール部の水谷幸司HC(57)が“秘話”を明かした。

 「本音はもうプレーが見られないのがさみしい。だけど、とても、もう少しやれとは言えませんでした」。そう話すのは、桜井を高校3年間指導した四日市工バスケットボール部の水谷HCだ。試験期間中の12、3月に北海道に来てレバンガの試合を観戦するのが毎年の恒例行事だが、一昨年の12月に本人から引退を告げられた。

 近年は、けがと闘うシーズンが続いたが「プレータイムは短くなっても動きは衰えていない。まだできる」と、感じていた。しかし、骨折した左足首の骨が分離したレントゲン写真を見せてもらうと「胸が痛かった」。過去には冗談半分で「(49歳で引退した)折茂を超えるまでやれ」と言うこともあったが、満身創痍(そうい)の状態を知り、初めて「もう無理せんといてほしい」という気持ちになった。

 初めて桜井を見たのは中学3年の夏頃。当時は「180センチあるかないかくらい」で印象深い選手ではなかった。しかし、冬の高校受験の時に再度見ると「185、6センチくらいになっていた」。高校入学後は1年の全国総体予選からレギュラーとして起用した。身長も順調に伸び続けて、全国区の選手に成長。「日の丸を付けたり、プロになることは当然だった」と振り返る恩師の見立て通り、プロの舞台でも数々の功績を残した。

 現役最終戦を生観戦することはできなかったが、6月8日に予定されている引退試合には駆け付ける予定だ。「長い間、ご苦労さんしかないですね。体を大事にして、私としてはあいつがチームを率いてる姿を見たいです」。教え子をねぎらうとともに、次のステージでのさらなる活躍を期待していた。