◆米大リーグ ドジャース―ブレーブス(4日・米カリフォルニア州ロサンゼルス=ドジャースタジアム)

 ドジャース・大谷翔平投手(29)が4日(日本時間5日)、本拠地・ブレーブス戦に「2番・DH」で先発出場し、自身6試合ぶりの8号ソロを放った。これまで日本出身の選手で、ド軍在籍時の最多本塁打は日本人の母を持ち、沖縄県で生まれたロバーツ監督の7本となっていたが、並んでいた大谷が抜き去った。

 2点リードの3回先頭で迎えた第2打席。この日が初対戦となった昨季12勝の右腕・エルダーの90・2マイル(約145キロ)直球を振り抜いた。やや詰まったような音だったが、楽々と打球を右中間席まで運んだ。打球速度103・4マイル(約166・5キロ)、飛距離392フィート(約119・5メートル)、打球角度は34度だった。ベンチに戻ると、満面の笑みでバンザイする指揮官と両手でハイタッチした大谷。同僚からの祝福を受け終えると、再びロバーツ監督と喜びを分かち合った。

 4月23日(同24日)の敵地ナショナルズ戦で“王手”をかける6号ソロ、26日(同27日)の敵地ブルージェイズ戦ではタイ記録の7号ソロをマークした大谷は「そこ(監督超え)を目標に頑張っているので」と話していたが、ようやく待望の瞬間が訪れた。

 この日の試合前、ロバーツ監督は日米メディアに対し「私は昨日、ギフトをもらったんだ。私のドジャースでの記録をとても近いうちに破ろうとしている日本生まれのプレーヤーが、ギフトを持ってきたんだ。ポルシェだ」と突然切り出した。現地記者の間では、取材の中で指揮官にこの話題を振り、ロバーツ監督が冗談で返すというやりとりが定番になっていた。残り1本となった先週のワシントンDCでは「(大谷が)記録を抜いたらポルシェをもらうのはどう?」という問いかけに「それはいい考えだね(笑い)」としていたが、その会話を大谷が聞きつけたのか、サプライズで実現した形だ。

 しかし、大谷らしい冗談つきだった。昨年12月。ドジャースに移籍した大谷は背番号「17」を譲ってくれたケリー夫妻に、自身がアンバサダー契約を結ぶ高級車のポルシェを贈ったことが話題となった。そんな経緯もあり、報道陣の期待は高まったが、「翔平は小さなポルシェ(おもちゃ)を持ってきてくれたよ」と指揮官は爆笑。「確かに車を買ってくれたけど、私はどんな車種かまでは言ってなかったようだ(笑い)」と白い歯をこぼした。記者から「監督の記録を破ったら本物のポルシェをくれるんじゃないですか?」と聞かれると「ハハハ、そんなことは誰にも分からない」と話していたが、ベンチで大谷を迎える際は誰よりもウキウキの様子だった。

 大谷はここまで33試合で打率3割3分6厘、7本塁打、20打点、7盗塁。移籍1年目から好調なスタートを切っている。昨年9月の右肘手術の影響で打者専念となる今季。念願の“監督超え”を果たし、次はどんな快挙を成し遂げるのだろうか。

◆大谷の年度別本塁打数

▽日本ハム(48本)

13年 3本

14年 10本

15年 5本

16年 22本

17年 8本

▽エンゼルス(171本)

18年 22本

19年 18本

20年 7本

21年 46本

22年 34本

23年 44本

▽ドジャース(8本)

24年 8本