◆高校野球春季北海道大会▽空知地区予選1回戦 美唄尚栄19−0深川東=5回コールド=(5日・滝川市営)

 全道10地区のトップを切って、空知地区予選が開幕した。開幕試合に登場した美唄尚栄は19―0の5回コールドで深川東を下し、2016年春以来8年ぶりの勝利を挙げた。野球人生公式戦初登板の先発・尾嵜翔太投手(3年)が5回参考ながらノーヒットノーランを記録。打ってもランニング本塁打を含む3安打2打点と躍動した。岩見沢東は8―1の7回コールドで砂川に勝利した。

 美唄尚栄の尾嵜が、5回を打者15人で片付けた。最後の打者を投ゴロに打ち取っても表情一つ変えることなく列に加わったポーカーフェースの左腕だが「監督も代わって、なんとか絶対勝ちたいと思っていた。北海道で一番最初の試合だったので、いいスタートを切れて良かった」と試合後は思わず白い歯がこぼれた。

 前日に先発を告げられた。昨夜は午後11時に寝床についたが「試合してる風景が浮かんできて寝れなかった」。就寝したのは午前3時で、睡眠時間は3時間ほど。それでも、マウンドに上がると寝不足を感じさせない投球を披露した。持ち味の「テンポの良さ」で淡々と投げ込み、1回の先頭に四球を与えて以降は、併殺を含めて連続で15個のアウトを積み重ねた。

 大阪から美唄に引っ越してきた小学6年時、17年WBCで登板した中日・岡田俊哉投手の姿を見て野球を始めた。高校入学後も主に野手がメインで、公式戦でマウンドに上がるのはこの日が人生初。緊張もある中での快投に、今春赴任した三原経敬監督(30)は「1回が終わってからは普段通り、伸び伸びやってくれた」と目を細めた。

 リードオフマンを務めた打撃では2回1死二、三塁から右前適時打。5回には左越えのランニング本塁打も放ち、投打でフル回転した。次戦の相手は昨秋全道出場のクラーク。背番号3は「周りは尚栄が負けると思っている。それを逆手に取るじゃないですけど、足をすくうくらいの試合がしたい」。竜党の17歳は、本家と同じ青色のアンダーシャツを身にまとい、強敵に立ち向かう。

(島山 知房)

 岩見沢東は中盤に打線が爆発し、初戦を突破した。同点の5回に四球や失策などで勝ち越すと、8番・福井蒼心三塁手(2年)の適時三塁打などで一挙7得点。打者一巡の猛攻で試合を決めた。来年度に岩見沢西との統合が決まっており、創部101年の野球部で単独出場できるのは今夏が最後になる可能性もある。長嶋陽斗主将(3年)は「いい形で岩東野球部を締めくくりたい」と力を込めた。