◇明治安田J1 ▽第13節 川崎3―0札幌 (11日、UvanceとどろきスタジアムbyFujitsu)

 動きとサポートの質で川崎との差が出た。同じ1トップの武蔵とハットトリックしたゴミスの差という見方をした人もいるとは思うが、なぜゴミスがシュートにいけたかというと、いいおとりの動きとサポートがあったからに尽きる。

 J1で戦う中で、1人で突破してシュートまでというのは相当難しい。2人目、3人目がいいタイミングで攻撃参加してこないと相手は食いつかないし、ゴールとはならない。武蔵にパスを入れてもただ当てるだけのボールでは、相手DFを引き出すこともできない。

 ボールキープ一つでも、川崎は必ず前に運ぶというアクションを見せてから展開するのに対し、札幌は本当に前に出てくるようには見えない動きな上に後ろに下げてしまうから、相手には「下げさせた」というイメージを持たれてしまう。下げたと下げさせたは全く違うもの。ちょっとした質と意識の差が、3点という差になってしまった。

 シュートもコースをうまく突こうとしてるように見えるが、枠内に入れていくくらいの気持ちでいい。そこに行けば何かが起こるかもしれないのだから。苦しい状況なのも分かるが、ゴール前での力みがすごすぎる。崩すことを楽しんだり、相手を困らせるようなプレーを、こういう時こそどれだけできるかが大事になる。

 経験豊富な川崎から学んだことは多かったと思う。10センチ、20センチ立つ位置を変えるだけで世界観すら違ってくるのがサッカー。一つのプレーに対するこだわりをもっと突き詰めた上で、試合では笑顔が出るようなメンタルで臨むことが必要になってくる。(吉原 宏太、1996〜99年札幌FW)